違いを超えて、つながる力

 10月に国際学会でスペインのバルセロナを訪れました。大学時代にスペイン語を専攻していたこともあり、いつか訪れてみたいと思っていた街です。サグラダ・ファミリアやグエル公園など、街のあちこちにガウディの独創的な建築が息づいており、その一つひとつに人々の想いや文化が重なっていることを感じました。

 バルセロナは、長い歴史の中でアラブ、ユダヤ、カタルーニャなど、異なる文化が交わりながら発展してきた街です。歩いているだけで、言葉や習慣、価値観の違いが自然に共存していることに気づきます。その場所ごとに変わる街並に触れ、「違いを超えて、つながる力」という言葉が頭に浮かびました。

 医療や教育の現場にも、この考え方は通じます。学生や患者さんはそれぞれ異なる背景を持ち、同じ方法がすべての人に最適とは限りません。私自身も、日々の教育の中で「何がこの学生にとってベストなのか」を自問自答しながら過ごしています。相手の立場に耳を傾け、互いの違いを理解し合うことで、よりよい関係や学びが生まれると思います。

 福島県立医科大学では、海外の大学との交流や共同研究が進みつつあります。多様な文化や考え方に触れることは、自分の“当たり前”を見直すきっかけになります。バルセロナで感じた温かさと寛容さを胸に、これからも学生と共に、違いを超えてつながる力を育んでいきたいと思います。

<写真は建築中のサグラダファミリアとグエル公園>

違いを超えて

メッセージ一覧

ページの先頭へ戻る