免疫学講座
Department of Immunology
教室紹介
本講座は、1991年に藤田禎三名誉教授によって生化学第二講座として開講され、2005年4月より講座名が免疫学講座へと改名されました。2012年8月より、関根英治が教授に就任し、自己免疫疾患の病因・病態解明や、自然免疫における補体活性化経路の役割について最先端の研究を展開しています。
免疫系は、病原体の感染初期に抵抗性を示す自然免疫、および病原体を特異的に認識し、その情報を記憶し再感染時により特異的で強力な抵抗性を示す獲得免疫から成り立ちます。その機構は複雑なシステムによって制御されていますが、何らかの要因によって過剰に応答したり、自己の成分を非自己と認識したりするようになると、アレルギーや自己免疫疾患などの疾患が引き起こされると考えられています。本講座では、免疫応答における基盤研究、および疾患への関連について研究を行っており、基礎−臨床間の橋渡しとなる研究に重点を置いています。
研究活動
1. 全身性エリテマトーデスのモデルマウスを用いた自己免疫疾患の病因および病態の解明
全身性エリテマトーデス (SLE) は、発熱や発疹 (紅斑)、全身倦怠感、関節痛などを主徴とし、腎や神経、皮膚、血管などの様々な臓器が障害を受ける全身性の炎症性疾患です。免疫系は細菌やウイルスなどの病原体を認識し、それらを攻撃して排除しますが、SLEでは病原体に立ち向かうはずの免疫系が自分の体の成分 (自己抗原) を攻撃してしまうため、自己免疫疾患とよばれています。しかし、なぜ免疫系が、特にリンパ球 (T細胞とB細胞) が自己抗原を認識して攻撃するようになってしまうのか、その理由は謎のままです。SLEでは、自己反応性B細胞が産生する自己抗体 (自己抗原に結合する抗体) が臓器での炎症を引き起こす主要因子と考えられていますが、自己反応性B細胞を刺激したり、自然免疫とよばれるマクロファージや樹状細胞などの免疫担当細胞と密接な連携プレーを行う自己反応性T細胞の形成が、病因・病態に深く関与することが想定されます。本講座では自己反応性T細胞に着目し、その形成に関与する様々な遺伝子を改変したSLEモデルマウスを用いてその役割を明らかにし、本疾患の治療に結びつけることを最終目的としています。
2. 補体レクチン経路およびその構成因子の自然免疫における役割の解明
本講座は、これまでの研究によって、感染初期の免疫応答に働く新規物質Mannose-binding lectin-associated serine protease-1 (MASP-1) およびレクチンP35 (Ficolin) を発見し、これらが関与する補体レクチン経路が新たな補体活性化経路であることを明らかにしてきました。MASP-1発見の後、新たにMASP-2が同定され、その各成分の役割は複雑さを増しています。我々のグループは、MASP-1が補体第二経路の活性化にも関与することを明らかにし、これらのタンパク質が自然免疫応答において非常に重要であることを見出しました。現在、これらの遺伝子のノックアウトマウスおよび組換えタンパク質を用いて、MASP-1およびMASP-3の疾患への関連および機能解析を行っています。
産学連携の推進
福島県立医科大学では、共同研究・受託研究・新規事業の開拓・製品開発等を通じた産業界との連携をより推進するため、研究シーズ集を作成いたしました。
詳細は以下のリンクをご参照下さい。
・本学研究シーズ集(ウェブページ)
・当講座研究シーズ(PDFファイル) 2014.2.4 現在
教育活動
【講義】
生化・分子学(代謝生化学)【2年生】、生化・分子学(分子生物学)【2年生】、
免疫学【2年生】、PBLテュートリアル教育【1・2・3年生】、免疫と生体防御【修士課程】
【実習】
免疫学実習【2年生】、医学研究方法論【修士課程】、医科学研究入門【博士課程】、基礎上級【4年生】
スタッフ
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