2016年9月3日
《講義》 避難者の生活とメンタルヘルス
講師:桃井 真帆(放射線医学県民健康管理センター)

実際に被災者の声を聞き続けてきた臨床心理士による講義。福島における避難の特徴と、避難者における心理学的知見について、症例提示を交えながら紹介。
感想等(抜粋)
災害当時医療従事者として何もできなかった。自分に無力さを感じ、自治体の看護師として住民の皆様を支援していきたいと思い現在に至ります。支援される側、する側のストレスを十分に理解し帰還に向けて生じる新たなストレスを今後はフォローしていきたい。
《講義》 福島めばえ幼稚園における震災と取り組み
講師:伊藤 ちはる(福島めばえ幼稚園教員)

震災後、現在に至るまでの経験と放射線被ばくへの対策等に関する概説に加え、震災後の保護者の要望、様々な制限かでの園児の成長と保育上の課題を年次毎にわかりやすく紹介し、保育のあり方をも考察する内容
感想等(抜粋)
保護者の心理状態と子供の行動は密接である事が理解できた。震災による子供の発育、人格形成に問題が生じている事が理解できた。現場の実情が分る講義でした。
《ワークショップ》 福島の現状を考える
講師:村上 道夫(健康リスクコミュニケーション学講座)・後藤 あや(総合科学教育研究センター)・熊谷 敦史 ・ 宮谷 理恵

4班に分かれ、医療関係者にしばしば尋ねられる飲食物中の放射線健康リスクに関するリスクコミュニケーションのあり方を考える
感想等(抜粋)
相談する人を知る、思いをひきだすことが大切で数値的な説明や答えをききたいわけではない、不安や訴えを傾聴してほしいという気持ちによりそうことが大事なことだと思いました。
《演習》 リスクコミュニケーション・よろず健康相談模擬演習
講師:熊谷 敦史・安井 清孝(医療人育成・支援センター)・宮谷 理恵
受講生互いに住民役・相談役となり放射線不安の相談を体験する面接演習


感想等(抜粋)
相談を受けた時、どうしても答えを出してあげないといけない相談者が求めている答えは何だろうと考えてしまいます。けど、大半は、答え、回答を求めてこられるわけではないだと改めて感じました。不安を吐きださせてあげる相談役になってあげることが、自分たちのできることではないかと思いました。
《講義/討論》 リスクコミュニケーション:医療者の役割
講師:熊谷 敦史

福島における住民に対する震災及び放射線健康リスクにいかに対応するか、医療者の視点からこれまでの経験と今後のあるべき姿を考える内容
感想等(抜粋)
リスクについての考え方、伝え方、どのように情報を信用してもらうか、将来のビジョンはどうなっているか、個人のかかえる問題など全てを解決をすることは困難であると考えさせられた。社会‐科学‐技術のバランスはどうすれば良いか。とても医療者のみでの活動は難しいのではないかと思う。
《修了式》
修了証書授与:大津留 晶


最後に、このセミナーへ参加しての全体のご意見・ご感想を伺いました。(抜粋)
- 福島の災害セミナーということで放射線の勉強を目的に受講しました。しかし、本セミナーは、他のどんなセミナーよりも災害、ひいては人を包括的に考えていると思いました。放射線だけを念頭に置いていた自分にとっては大変感銘を受けました。放射線の知識も増えましたが、それ以上に災害に対する考え方・医療に対する考え方を見習わせて頂きたいと思いました。ありがとうございました。
- 他県に住んでいる私は東日本大震災、原発事故を具体的にイメージすることが出来ていなかった。その状況の中で今回のセミナーに参加した。震災からもうすぐ5年半が経過しテレビで取り上げられる機会が減ってきた中で、セミナーのワークショップを通し福島在住の方の話を聞き、被災当時どうだったのか、5年半経過しようとする現在、どのように変化してきているのか、知ることが出来て良かった。私自身3人の幼い子どもがいるので、幼稚園の先生のお話はとても興味深かったです。震災を経験していない現在の園児に目に見える変化が出ていることに驚きを感じた。とても内容の濃い2日間を過ごせて良かったです。有難うございました。
- サブタイトルに福島だから出来ることがあるとあったが正に其のとおりだったとおもう。サーベイは当然のことながら、講師や受講生が震災の体験者であり、すべてが生の声だった。自分も被害にあったが、軽微な被害だったので、どこか遠巻きだった。この場に来て色々な話から、自分の中の東日本大震災がより深く理解できたとおもう。有難うございました。