福島県立医科大学 トピックス
第17回WHO緊急被ばく医療ネットーワーク調整会議の報告
チョルノービリ原発事故翌年の1987年に設立されたWHO-REMPAN(Radiation Emergency Medicine Preparedness and Response Network)(世界保健機関緊急被ばく医療国際ネットワーク)事業は、定期的な調整会合を世界各国で開催しています(https://www.who.int/groups/rempan)。福島県立医科大学は、東京電力(株)福島第一原子力発電所事故(福島原発事故)を受けて、2018年から我が国4番目のREMPAN協力センターに指定され、第14回のビュルツブルグ大学共催の調整会議以降4回目の参加となります。
今回の第17回本会議は、コロナ災禍を受けて3年ぶりの対面ならびにメンバーのみ参加可能なハイブリッド形式でソウルの KIRAMS-NERMC(Korean Institute of Radiological & Medical Sciences- National Radiation Emergency Medical Center)(韓国放射線医学総合研究所-緊急被ばく医療センター)の共催で、9月13日から15日まで、現地ホテルノボアンバサダーで3日間成功裏に開催されました。第16回は完全オンラインで開催されたため、前回の対面会議から6年ぶりの関係者の再会であり、大変有益な情報交換と人事交流が行われました。今回の特徴の一つが、ロシア軍のウクライナ侵攻を受けてウクライナ放射線医学研究所のBazykya所長の来韓に合わせて、「Health and Peace」のセッションが取り上げられ、欧米諸国からは大規模な核汚染や核テロ想定、原発被害の具体的な想定の下で活発な議論が繰り広げられたことです。それに伴い急性放射線障害の診断治療、線量評価についての報告が多くなされました。
福島セッションでは、山下俊一副学長の共同座長のもと6演題が発表されましたが、本学からは長谷川有史教授が福島第一原発における放射線リスクと国内原子力施設における医療の課題を、安村誠司教授が、県民健康調査事業の最新のデータをそれぞれ報告し、日本の原子力災害医療体制から福島の現状まで正しい理解が広がりました。次回は2025年IRSN(Institut de radioprotection et de surete nucleaire)(放射線防護・原子力安全研究所)の共催でパリ開催の予定です。