英国雑誌「Journal of Experimental & Clinical Cancer Research」掲載(2026年4月)

Gemcitabine-induced β4 integrin drives cancer progression and gemcitabine resistance in pancreatic cancer

ゲムシタビンによって誘導されたβ4インテグリンは、膵臓がんにおけるがんの進行とゲムシタビン耐性を促進する

生化学講座の苅谷慶喜准教授のポートレート。スーツを着てまじめな表情をしている。

苅谷 慶喜(かりや・よしのぶ)

生化学講座 准教授

研究グループ

苅谷慶喜、鈴木遥翔、苅谷由貴子、西田満

概要

論文掲載雑誌:「Journal of Experimental & Clinical Cancer Research」 (2026年4月)


発表のポイント
◆逆説的な現象の解明:抗がん剤が膵がんの薬剤耐性化と悪性化を促進する詳細な仕組みを解明しました。
◆悪性化のスイッチを発見:抗がん剤(ゲムシタビン)の刺激が、膵がん細胞の「β4インテグリン」遺伝子を強力にONにすることで、がん増悪を促進することを発見しました。
◆新たな治療戦略へ:この遺伝子を標的とした新薬開発により、抗がん剤耐性を克服する革新的な治療が期待されます。 

【概要】
抗がん剤が引き起こす膵がん悪性化のメカニズムを解明
〜「治療の過程でがんが薬に強くなり、悪性化する」という逆説的な謎を
エピジェネティクス解析で解き明かす〜

【背景と課題】
膵がんは治療中に抗がん剤への耐性を獲得しやすく、5年生存率が10%以下と極めて低い難治がんです。近年の研究から「化学療法そのものが、皮肉にも薬剤耐性や転移を促進しているのではないか」という逆説的な可能性が示唆されていましたが、その詳細は不明でした。

【今回の研究成果】
研究グループは、膵がん細胞が抗がん剤(ゲムシタビン)にさらされることで引き起こされる、薬剤耐性の獲得と悪性化の詳細なメカニズムを世界で初めて明らかにしました。抗がん剤の刺激によって細胞内のタンパク質群が連鎖的に働き、最終的に「β4インテグリン」という遺伝子のスイッチを強力にONにすることで、がん細胞が薬剤耐性を獲得するとともに悪性化を爆発的に促進することを突き止めました(図1)。

【今後の展望】
本成果は、「抗がん剤が、薬剤耐性がん進展の引き金になり得る」という、従来の常識を覆す新たな視点を提示するものです。今後はこの「β4インテグリン」を標的とした新たな治療薬の開発や、抗がん剤耐性を克服する革新的な治療戦略への応用を目指します。

本研究はJSPS科研費17K08665, 22K07004, 25K10319(研究代表者 苅谷慶喜)による助成を受けて行われました。

連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 生化学講座
電話:大学代表024-547-1111
FAX:024-548-8641
メールアドレス:kariya@fmu.ac.jp(スパムメール防止のため一部全角表記しています)

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