英国雑誌「Disaster Medicine and Public Health Preparedness」掲載(2026年3月)
Call for Clearly Defining Disaster-Related Sequelae
災害関連後遺症の明確な定義付けの必要性
二上 純奈(ふたがみ・じゅんな)
放射線健康管理学講座 MD-PhD生
研究グループ
二上 純奈,丸井 秀則,澤野 豊明,大木 裕生,渡辺 淑彦,坪倉 正治
概要
論文掲載雑誌:「Disaster Medicine and Public Health Preparedness」 (2026年3月)
本稿では、災害後に生じる中長期的な健康影響に対する支援の現状と課題について、国内外の報告や既存制度をもとに検討しました。近年、災害対策の進歩により直接死は減少していますが、医療の進歩や高齢化に伴い、慢性疾患や障害を有する人々が増加しており、災害時の環境変化や医療中断による二次的な健康影響に対して脆弱な集団が拡大していることが明らかになっています。
また、災害による健康影響に対する公的支援制度は、日本およびアメリカにおいてのみ体系的に整備されていること、さらに災害関連死に対する補償制度は拡充されてきた一方で、生存者に対する中長期的な医療的・社会的支援は十分とはいえない現状が確認されました。加えて、東日本大震災後の脳卒中入院、うつ病、認知機能低下の増加や、ネパール地震後のがん関連入院の増加などの報告から、災害後の間接的健康影響が国内外で共通して認められることが示されています。
これらの結果を踏まえ、本稿では「災害関連後遺症」という概念の定義づけの必要性を提起するとともに、補償制度の拡充、医療継続性の確保、予防教育を含む包括的な医療・社会的支援体制の構築が急務であることを提言します。
連絡先
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