英国雑誌「Disaster Medicine and Public Health Preparedness」掲載(2025年8月)

Special Needs Shelters Not Only as Evacuation Sites but Also as Access Points to Medical Care: A Case Report from the Noto Peninsula Earthquake

特別な支援を必要とする人々のための避難所は、単なる避難所としてだけでなく、医療へのアクセスポイントとしても機能する:能登半島地震の事例報告

阿部 暁樹(あべ・としき)

放射線健康管理学講座 講座等研究員

研究グループ

阿部暁樹, 小坂真琴, 山村桃花, 山本知佳, 趙天辰, 中村悦子, 石川和子, 池口亮, 遠藤通意, 澤野豊明, 森山信彰, 齋藤宏章, 尾崎章彦, 坪倉正治, 紅谷浩之

概要

論文掲載雑誌:「Disaster Medicine and Public Health Preparedness」 (2025年8月)


 2024年の能登半島地震では、多くの住民が福祉避難所への避難を余儀なくされました。福祉避難所は、高齢者や感覚障害のある人など、特別な配慮を必要とする人々を受け入れるために設計された施設です。本事例報告は、未治療の白内障と難聴を抱え、被災前まで適切な医療を受ける機会がなかった90代女性の経過をまとめたものです。

 彼女は能登半島地震で被災し、福祉避難所へ避難しました。その避難所は、避難者だけでなく、自発的に集まった多くのボランティアや医療従事者も受け入れる拠点となっていました。現場には医師をはじめ、看護師、理学療法士、介護士などの多職種が駐在し、避難者への支援を積極的に展開していました。対象女性は日常生活で介助を必要としていましたが、医療従事者が24時間体制で常駐していたことにより、継続的な生活サポートを受けることが可能となりました。

 その後、彼女は同福祉避難所で活動していたボランティア医師による診察をきっかけに、シームレスに医療機関を受診しました。白内障手術を受けた結果、視力と共に日常生活動作能力が大幅に向上しました。本事例は、福祉避難所が適切な医療にアクセスできていない人々にとっての、「医療サービスへの入り口」となり得ることを示しています。災害対応計画に医療機能を組み込み、専門家を配置することは、脆弱な立場にある人々の健康状態と生活の質を向上させる上で極めて重要です。

 本事例は、適切な福祉避難所の取り組みと円滑な医療連携が、災害直後の対応にとどまらず、避難者の長期的な健康状態をどのように向上させることができるかを検討する一助となるものです。

図1. 本研究の概要

連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 放射線健康管理学講座
電話:大学代表024-547-1111 または、024-547-1891
FAX:024-547-1889
講座ホームページ:https://www.fmu.ac.jp/education/medicine/department/houken/
メールアドレス:a-toshi@fmu.ac.jp(スパムメール防止のため一部全角表記しています)

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