ドイツ雑誌「Graefe’s archive for clinical and experimental ophthalmology」掲載(2026年1月)
Analysis of macular atrophy in type 3 macular neovascularization cases: a follow-up of over 7 years
3型黄斑部新生血管症における黄斑萎縮の解析:7年以上の追跡調査
本庄純一郎(ほんじょう・じゅんいちろう)
眼科学講座 助教
研究グループ
本庄純一郎・向井亮・板垣可奈子・田中啓一郎・則川晃希・加藤寛・笠井暁仁・石龍鉄樹
概要
論文掲載雑誌:「Graefe’s archive for clinical and experimental ophthalmology」(2026年1月10日)
加齢黄斑変性(AMD)は高齢者の視力低下の大きな原因で、現在は抗VEGF薬の硝子体内注射が標準治療です。一方で、治療を長期間続ける中で、網膜が痩せていく黄斑萎縮(macular atrophy: MA)が進行し、最終的に視力が低下することが問題となっています。
本研究では、AMDの中でもリスクが高いとされるType 3黄斑部新生血管(Type 3 MNV)に注目し、福島医大で長期治療を受けた症例を後ろ向きに解析しました。未治療で受診し、その後7年以上追跡できた23眼(平均追跡約9年)を対象に、眼底写真・自発蛍光(FAF)・赤外画像・OCTなどの複数の画像を用いて、MAの発症と広がり、視力変化、関連因子を評価しました。
その結果、MAは治療開始後1–2年の時点で約半数に出現し、最終的には約9割で認められました。さらにMAの面積は時間とともに増加し、2年以降のほうが萎縮の拡大スピードが速い傾向がありました。MAが大きいほど最終視力は悪く、MAの進行が長期視力低下と強く関係していました。
重要な点として、注射回数(治療負担)とMAの大きさ・進行速度には明確な関連がみられませんでした。一方で、治療開始時の中心窩下脈絡膜厚(SCT)が薄いほど最終的なMAが大きいこと、また網膜偽ドルーゼン(SDD)の退行がみられる症例でMAの進行が速いことが示されました。これらは、治療そのものよりも、治療開始時の脈絡膜や網膜外層の状態が萎縮進行に関わる可能性を示唆します。
以上より、Type 3 MNVでは、抗VEGF治療で滲出を抑えられても、長期的には黄斑萎縮が進みやすく、特に2年以降も注意深い経過観察が重要であることが分かりました。SCTやSDDの変化は、将来の萎縮リスクを見積もるうえで有用な所見となる可能性があります。(本庄 純一郎)
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