ドイツ雑誌「Graefe’s archive for clinical and experimental ophthalmology」掲載(2025年11月)

A one-year study on the regression effects of aflibercept and faricimab on retinal pigment epithelial detachment

アフリベルセプトとファリシマブが網膜色素上皮剥離に与える退縮効果に関する1年間の研究

福島県立医科大学の腫瘍内科学講座主任教授、佐治重衡氏のポートレート。白衣を着用し、背景には書類や小物が並ぶ。

本庄純一郎(ほんじょう・じゅんいちろう)

眼科学講座 助教

研究グループ

本庄純一郎・向井亮・板垣可奈子・田中啓一郎・則川晃希・加藤寛・笠井暁仁・石龍鉄樹

 

概要

論文掲載雑誌:「Graefe’s archive for clinical and experimental ophthalmology」(2025年11月10日)


本研究では、日本人の中途失明原因の上位を占める新生血管型加齢黄斑変性のうち、Type1黄斑部新生血管を伴う94眼を対象に、日常診療で行われている治療の効果を比較しました。

治療には、アフリベルセプトまたはファリシマブという2種類の抗VEGF薬を用い、病状に応じて注射の間隔を調整する「treat and extend法」で、1年間経過を追いました。

その結果、網膜色素上皮剥離(PED)と呼ばれる病変の高さは、どちらの薬剤でも1年間で明らかに改善し、改善の程度に薬剤間の差は認められませんでした。

一方で、ファリシマブを使用した群では、注射回数が少なく、治療間隔をより長く保つことができました。

さらに詳しく解析すると、PEDの改善度に影響していたのは薬剤の種類ではなく、1年間の注射回数や治療開始時のPEDの高さであることが分かりました。

また、網膜に滲出性変化が残らない「Dry macula」の状態では、PEDはもともと低く、視力の大きな改善はPEDの縮小よりも、網膜の滲出が減ったことと強く関係していました。

これらの結果から、PEDの改善効果自体は両薬剤で同程度でしたが、ファリシマブは治療回数を減らせる可能性があり、患者さんの負担軽減につながることが示唆されました。

実際の診療では、病変からの滲出をしっかり抑え、治療間隔を無理なく延ばせるかを重視しながら、PEDの変化を治療評価の一つの目安として活用することが有用と考えられます。(本庄 純一郎)

 

連絡先

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