米国雑誌「RMD Open」掲載(2025年7月)
Safety of mycophenolate mofetil in systemic lupus erythematosus maintenance therapy: insights from the LUNA registry in a nationwide prospective cohort study.
LUNAレジストリを用いたSLE維持療法中の患者におけるミコフェノールモフェチル(MMF)の感染症リスクの検証
松岡 直紀(まつおか・なおき)
リウマチ膠原病内科学講座 博士研究員
研究グループ
○福島県立医科大学医学部リウマチ膠原病内科学講座
松岡 直紀、佐藤 秀三、小川 政太朗、住近 祐哉、齋藤 賢司、吉田 周平、松本 聖生、天目 純平、藤田 雄也、浅野 智之、右田 清志
○LUNA共同研究施設
矢嶋 宣幸、井上 永介、蕗田 淳平、佐田 憲映、一瀬 邦弘、吉見 竜介、大野 滋、梶山 浩、下島 恭弘、藤原 道雄、木田 節、宮脇 義亜、松尾 祐介、大西 貴久、西村 啓佑
概要
論文掲載雑誌:「RMD Open」(2025年7月22日)
全身性エリテマトーデス(SLE)の生命予後は治療の進歩により過去数十年で著しく改善したものの、免疫抑制療法を長期間行うことによる有害事象として発症する感染症は依然として長期予後に関わる主要な問題となっています。感染症は現在においてもSLE患者の最も一般的な死因であると言えます。国際的なSLE治療ガイドラインでは、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)はSLEの一病型であるループスの腎炎において寛解導入期、維持療法期のいずれにおいても第一選択薬になっています。しかし、維持療法中のSLE患者におけるMMFの感染症リスクに関する検証はこれまで十分に行われていませんでした。
そこで本研究は全国24の大学病院及び総合病院が参加し、約2050例のSLE患者の観察データが登録されているLUNAレジストリを用いて、維持療法中のSLE患者におけるMM Fの感染症リスクの検証を行いました。プレドニゾロン(PSL) 15mg以下内服中のSLE患者を維持療法中と定義し、曝露群はMMF治療群とし、対照群はその他の免疫抑制剤(非MMF)治療群としました。主要アウトカムは入院を要する重篤な感染症の発生率とし、副次的アウトカムは全原因による入院発生率、PSL投与量の年次変化、疾患活動性、臓器障害の年次変化量としました。
結果、解析対象となる維持療法中のSLE患者1004例において、入院を要する重篤な感染症発生率はMMF群(310例)と非MMF群(694例)で有意差は認められませんでした。同様に、全入院率も両群間で有意差は認めませんでした。一方、PSL投与量の年次変化量はMMF群で有意に減少していました。臓器障害スコアの年次変化量はMMF群でわずかに低下していましたが、疾患活動性スコアの年次変化量は両群間で同等でした。これらの結果からMMFはSLE維持療法において他の免疫抑制剤と比較して重篤な感染症リスクを有意に増加させないこと、MMFはSLEの病態を悪化させることなくPSL減量に寄与する可能性があることを報告しました。
本研究の結果はMMFの使用に関するガイドラインの推奨を支持すると共に、ステロイド内服量の低減にMMFが寄与する可能性を示唆しています。(松岡 直紀)
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 医学部/リウマチ膠原病内科学講座
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