米国医学誌「TRANSFUSION」掲載(2025年9月)

Rapid thawing of fresh frozen plasma with a 45°C dry tempering system maintains critical coagulation activities

45℃の乾式加温システムによる新鮮凍結血漿の急速融解は、重要な凝固活性を維持する

福島県立医科大学の腫瘍内科学講座主任教授、佐治重衡氏のポートレート。白衣を着用し、背景には書類や小物が並ぶ。

力丸 峻也(りきまる・しゅんや)

輸血・移植免疫部 医療技師 

研究グループ

力丸 峻也、三村 耕作、髙野 希美、只野 光彦、皆川 敬治、植田 航希、川畑 絹代、志村 浩己、Kenneth E. Nollet、大戸 斉、池田 和彦

 

概要

論文掲載雑誌:「TRANSFUSION(オンライン版)」 (2025年9月22日)


大量出血を伴う患者において、迅速に新鮮凍結血漿(FFP)を輸血することにより、死亡率が減少することが報告されています。本研究では、アルミニウムパネルを用いてFFPを急速に融解する新しい乾式加温システムの有効性を検証しました。

このシステムは、37℃でFFPを融解する「Dry NORMALモード」と45℃でFFPを融解する「Dry EXPRESSモード」の2つの設定があります。これらの新しい2つのモードと従来の恒温槽によるFFPの融解において、融解に要する時間と融解後のFFP内の重要な凝固因子活性を比較しました。

Dry EXPRESSモードは、従来の恒温槽と同等の速さでFFPを融解し、Dry NORMALモードよりも有意に速くFFPを融解することが示されました。さらに、両モードにおいて、FFPバッグの破損や融解後の沈殿物を生じることはなく、重要な凝固因子活性も維持されていました。

乾式加温システムは、恒温槽の場合に必要な水を温める時間を省略することができ、水を使用しないので救急車などの緊急車両でも使用可能であるため、災害時等でもその有用性が期待されます。特にDry EXPRESSモードは、大量輸血が必要な状況において、FFPの治療効果を保ちつつ、輸血までの貴重な時間を節約できる有望な方法と考えられます。(力丸 峻也)

 

 

連絡先

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