スイス科学雑誌「Cancers」掲載(2025年9月オンライン)
Factors Associated with the Detection of Actionable Genomic Alterations Using Liquid Biopsy in Biliary Tract Cancer
胆道癌におけるリキッドバイオプシーを用いた治療可能な標的遺伝子異常検出に関連する因子の検討
清水 広(しみず・ひろし)
消化器内科学講座 助手
鈴木 玲(すずき・れい)
消化器内科学講座 准教授
研究者:清水広、鈴木玲、浅間宏之、佐藤賢太郎、大澤賢人、大平怜、工藤慶祐、杉本充、大平弘正
研究グループ:福島県立医科大学医学部消化器内科学講座
概要
論文掲載雑誌:「Cancers」(2025年9月19日オンライン)
同時に多数の遺伝子異常を評価するがん遺伝子パネル検査(comprehensive genomic profiling:CGP)は、化学療法の選択肢拡大や治験・臨床試験への橋渡しに重要であり、日本でも2019年から保険診療で使用可能となりました。
胆道癌(胆管癌、胆嚢癌等)は組織によるCGP(組織CGP)に必要な検体量を確保できない場合があり、その際には血液によるCGP(血液CGP)が選択されます。しかし、血液CGPでは治療標的となる遺伝子異常の検出率が低く、どのような症例であれば血液CGPを有効に利用できるかは明らかになっていません。
本研究は、日本のがんゲノム医療データセンター(C-CAT:がんゲノム情報管理センター)に集積された全国の胆道癌症例データを二次利用しました。2019年6月から2025年1月の間に胆道癌7,772例の胆道癌が登録されており、その中で組織CGP(FoundationOne CDx)と血液CGP(FoundationOne Liquid CDx)を対象にしました。
両群の背景因子の差を統計学的に調整し、治療標的となる遺伝子異常の検出率を検討しました。その結果、血液CGPでは全体として治療標的となる遺伝子異常の検出率は組織CGPより低いものの(16.8% vs. 24.8%)、非肝門部領域症例、肝転移・リンパ節転移・肺転移を有する症例では検出率が有意に高いことが明らかになりました。特に、これら4因子の該当数が増えるほど血液CGPでの検出率は段階的に上昇し、3因子以上の症例では血液CGPでの検出率が組織CGPと同等となることが分かりました(図1)。
C-CATの全国規模データを活用することで、胆道癌において「どのような患者であれば血液CGPがより有用か」を具体的に示し、限られた検査資源を効率的かつ効果的に活用するための実践的な判断材料を提供した点に、本研究の意義であると考えます(清水 広)。

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