米国雑誌「Journal of the American Heart Association」掲載(2025年7月オンライン)
Nighttime Systolic Blood Pressure Determined by Pulse Transit Time Predicts Cardiac Events in Patients With Heart Failure
心不全患者において脈波伝播時間により計測された夜間収縮期血圧は心イベントを予測する

大橋 尚人 (おおはし・なおと)
循環器内科学講座 助手
研究グループ
大橋尚人、佐藤悠、義久精臣、竹石遼平、三阪智史、横川哲朗、佐藤崇匡、及川雅啓、小林淳、中里和彦、竹石恭知
概要
論文掲載雑誌:「Journal of the American Heart Association」(2025年7月21日オンライン)
心不全患者において日中の血圧と予後との関連が報告されていますが、測定の難しい夜間就寝中の血圧と予後との関連は明らかではありませんでした。
本研究では心不全患者366名(年齢中央値72.0歳、男性53.3%)を対象に、睡眠ポリグラフ検査を用いて測定した脈波伝播時間にもとづいて夜間就寝中の血圧を連続測定しました。
夜間就寝中の収縮期血圧の平均値をもとに血圧高値群、血圧中間群、血圧低値群の三分位に分類しました。各群における収縮期血圧の中央値はそれぞれ136 mmHg、117 mmHg、100 mmHgでした。観察期間中(中央値1,084日)に71件のイベント(心不全入院または心臓死の複合エンドポイント)が発生しました。カプランマイヤー解析では、血圧低値群で最も高いイベント発生率が認められ、多変量コックス比例ハザード解析においても、血圧低値群は血圧高値群と比較し、イベントの発生リスクが有意に高いことが示されました(調整ハザード比2.100)。
以上から心不全患者における夜間就寝中の収縮期血圧が心イベントの発生と関連していることが示唆されました。
(大橋 尚人)
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