米国雑誌「Journal of Cell Biology」掲載(2025年5月)

The mitophagy receptors BNIP3 and NIX mediate tight attachment and expansion of the isolation membrane to mitochondria

マイトファジー受容体BNIP3およびNIXは、隔離膜のミトコンドリアへの密着およびその伸張を促進する

和栗聡教授のポートレート。スーツを着用し、青い背景の前で微笑んでいる。

和栗 聡(わぐり・さとし)

解剖・組織学講座 教授

研究グループ

九州大学大学院医学研究院:山下 俊一 助教、神吉 智丈 教授ウエスタンオーストラリア大学:Benjamin Padman研究員ウォルター・エリザ・ホール医学研究所:Michael Lazarou教授カリフォルニア工科大学:David C. Chan教授福島県立医科大学:荒井 律子 助教(現:名古屋大学大学院医学系研究科講師)、羽田 浩士助教、和栗 聡 教授

概要

論文掲載雑誌:「Journal of Cell Biology」 (2025年5月13日)

マイトファジーは、異常なミトコンドリアを選択的に分解することで、ミトコンドリア機能の維持に貢献するとともに、異常ミトコンドリアより生じるストレスから細胞を保護しています。ある種のミトコンドリア外膜タンパク質はマイトファジーレセプターと呼ばれ、オートファジーに必須な膜構造体(隔離膜)をミトコンドリア上に繋留することでマイトファジーを促進します。しかしミトコンドリアと隔離膜がどのように接触するのかは分かっていませんでした。

九州大学大学院医学研究院の山下俊一助教、神吉智丈教授、名古屋大学大学院医学系研究科の荒井律子講師、福島県立医科大学の和栗聡教授らの共同研究グループは、ミトコンドリア-隔離膜接触部位の電子顕微鏡観察から、隔離膜はミトコンドリア外膜に密着して伸長すること、さらにマイトファジーレセプターがミトコンドリアと隔離膜の間に集積することでこの密着を可能にしていることを明らかにしました。

今回の研究では、長年未解明だったミトコンドリア-隔離膜複合中間体の微細構造とその分子機構を明らかにしました。この成果は、マイトファジー研究のブレイクスルーとなるだけでなく、ミトコンドリア異常を伴う様々な疾患に対する治療法の開発において有望な標的として期待されます。(和栗 聡)

連絡先

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