国内学会英文雑誌「Annals of Nuclear Medicine」掲載(2026年1月)

Effect of magnetic resonance image-based motion correction on the centiloid scale: a comparison with and without correction

MRIによる体動補正の有無がセンチロイドスケールに及ぼす影響

医療白衣を着た男性が青い背景の前で微笑んでいるポートレート。

山國 遼(やまくに・りょう)

放射線医学講座 病院助手

伊藤浩教授が白いシャツを着て、青い背景の前で真剣な表情でカメラを見つめているポートレート。


伊藤 浩(いとう・ひろし)

放射線医学講座 教授

研究グループ

山國 遼(放射線医学講座)、右近 直之(先端臨床研究センター)、金澤 崇史(放射線部)、石川 寛延(放射線部)、各務 竹康(衛生学・予防医学講座)、村上 丈伸 (鳥取大学医学部脳神経医科学講座脳 神経内科)、齋藤 敬二郎(放射線医学講座)、箱崎 元晴(放射線医学講座)、関野 啓史(放射線医学講座)、石井 士朗(放射線医学講座)、福島 賢慈(放射線医学講座)、久保 均(保健科学部 診療放射線科学科)、伊藤 浩(放射線医学講座)

概要

論文掲載雑誌:「Annals of Nuclear Medicine」 (2026年1月27日)

近年、レカネマブやドナネマブといった疾患修飾薬が保険収載され、Alzheimer病治療は新たな段階に入りつつあります。これらの疾患修飾薬を適切に使用するためには、脳内アミロイド沈着の有無を正確に評価することが不可欠です。アミロイドPETはその中心的手法であり、さらにアミロイド沈着量を定量化する指標として Centiloid Scale(CL)が開発されています。

アミロイドPET/MRI検査では、患者の体動を補正してより正確なPET画像を得るために、MR-Assisted Motion Correction(以下、MRMC)が利用可能です。認知症患者では認知機能低下に伴い検査中の安静保持が難しい場合があり、このような体動補正技術は検査精度向上に寄与します。しかし、MRMCが定量指標であるCLにどのような影響を及ぼすかは明らかではありません。一方、PET/CTでも実施可能な体動補正として、収集データを4分割し、最初の5分間の画像に残り15分間の画像を剛体変換(Rigid変換)させる手法(以下、Rigid MC)も存在します。

そこで本研究では、Motion Correction(MC)に関連する3種類の画像(①MRMC、②Rigid MC、③MCなし)を作成し、これらによるCLの差異を検討しました。

対象は、当院で脳アミロイドPET/MRIを実施し、MRMC画像が保存されていた51名の患者です。3種類の画像を作成しCLを測定したところ、CLが高値の症例ほど、MRMCではCLが低く、その他の手法ではより高く評価される傾向が認められました。また、MRMCはRigid MCより約1.3、MCなしより約0.47低いCLを示しました。3種類のCLは全体として強い相関を示しましたが、大きな体動を認めた一部症例ではCLに大きな乖離が生じました。特に体動が大きい症例では、MRMCとMCなしの差が顕著であり、Rigid MCはMRMCに比較的近いCLを示しました。総じて、MRMCとRigid MCの相関が最も良好でした。

以上より、MRMCはPET/MRIで利用可能な有効な体動補正技術ですが、Rigid MCやMCなしと比較するとCLがやや低値となる可能性があります。そのため、CLを閾値近辺で判断する際には注意が必要です。また、MRMCと良好な相関を示したRigid MCはPET/CTでも利用可能であり、MRMCが使用できない状況でのCL測定において有用な選択肢となり得ます。(山國 遼)

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