米国雑誌「Inorganic Chemistry 」掲載(2024年11月)
DNA Duplex Containing Ag⁺‐Mediated Cytosine−Cytosine Base Pairs as a Catalyst Precursor for the 4‐Nitrophenol Reduction with NaBH₄
Ag⁺を介したシトシン−シトシン塩基対を含む二本鎖DNA分子は、NaBH₄による4-ニトロフェノール還元反応のための触媒前駆体として機能する
大樂 武範(だいらく・たけのり)
総合科学教育研究センター 生物・化学領域 講師
研究グループ
大樂 武範、田辺 真 (福島県立医科大学 総合科学教育研究センター 生物・化学領域)熊田 佳菜子 (産業技術総合研究所 触媒化学融合研究センター)小野 哲也、吉田 健太郎、柏木 良友 (奥羽大学薬学部)田中 好幸 (徳島文理大学薬学部)近藤 次郎 (上智大学理工学部)
概要
論文掲載雑誌:「Inorganic Chemistry」 (2024年11月18日)
Ag + を介したシトシン−シトシン塩基対(C-Ag + -C)は、ナノデバイス開発研究の領域で発見された新たな塩基対様式です。
今回の研究では、C-Ag + -Cを含むDNA分子(DNA-Ag + )が水素化ホウ素ナトリウム(NaBH 4 )による4-ニトロフェノール還元反応のための触媒前駆体として機能することを見出しました。
この反応では、反応液中でDNA-Ag + が還元されることでDNA被覆Agナノ粒子が生じて、高い触媒活性を示します。また、反応液中で生じたDNA被覆Agナノ粒子の触媒特性は、DNA-Ag + を構成するDNAの塩基配列(A, G, C, T)の影響を受けることも実験的に示しました。
DNAの塩基配列は任意に設計・化学合成できることから、DNA-Ag + は機械学習を利用した合理的触媒設計に適した稀有なモデル分子となることが期待されます。(大樂 武範)
連絡先
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