米国科学誌「PLoS One」掲載(令和6年7月)

Increased serum caspase-1 in adult-onset Still's disease

成人発症スティル病における血清カスパーゼ-1の異常

成人発症スティル病に関する研究を行う松本聖生助教のポートレート。白衣を着用し、背景は青色。

松本 聖生(まつもと・はるき)

リウマチ膠原病内科学講座 助教

研究グループ

福島県立医科大学 医学部 リウマチ膠原病内科学講座松本聖生、吉田周平、藤田雄也、住近祐哉、齋藤賢司、天目純平、浅野智之、佐藤秀三、右田清志長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 先進予防医学共同専攻リウマチ・膠原病内科学分野古賀智裕国立研究開発法人 国立国際医療研究センター研究所 ゲノム医科学プロジェクト溝上雅史国立研究開発法人 国立国際医療研究センター研究所 感染病態研究部杉山真也

概要

論文掲載雑誌:「PLoS One」 (July 2024)

カスパーゼ-1はインフラマソーム活性化カスケードの重要な構成要素です。今回、成人発症スティル病(AOSD)患者における血清カスパーゼ-1が有用な炎症マーカーとなり得るのかを検討しました。

AOSDと診断された51名、疾患対照として66名の関節リウマチ患者、36名の健常人を対象としました。血清カスパーゼ-1濃度はELISA法を用いて測定しました。AOSD患者の血清サイトカイン濃度をマルチプレックスサスペンションアレイで解析し、各サイトカインのクラスター解析、特定の分子ネットワークを確認しました。

AOSD患者では、RA患者( p < 0.001)およびHC患者( p < 0.001)に対して血清カスパーゼ-1レベルが有意に上昇していました。さらに、血清カスパーゼ-1はAOSDの疾患活動性スコア(Pouchotスコア、r = 0.59、 p < 0.001)および血清フェリチン(r = 0.54、 p < 0.001)と有意な正の相関を示しました。AOSD患者では血清カスパーゼ-1とインターロイキン-18を含む炎症性サイトカインとの間に有意な相関がみられました。イムノブロット分析では、未治療のAOSD患者の血清からカスパーゼ-1の切断型(p20)が検出されましたが、免疫抑制治療を受けている非活動性AOSD患者の血清からは検出されませんでした。

今回の研究ではカスパーゼ-1は、AOSDの診断およびモニタリングに有用なバイオマーカーであることが示唆されました。

(松本 聖生)

連絡先

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