日本臨床免疫学会雑誌「Immunological Medicine」掲載(令和5年12月15日)

C5a stimulation induces caspase-1 activation and mature IL-1β production in human peripheral blood mononuclear cells

人末梢血単核球細胞において、C5aはCaspase-1活性化とIL-1β産生を誘導する

福島県立医科大学の助教、藤田雄也氏のスーツ姿のポートレート。背景は青色。

藤田 雄也(ふじた・ゆうや)

リウマチ膠原病内科学講座 助教

研究グループ

藤田雄也、松本聖生、稲田賢嗣、鬼澤道夫、齋藤賢司、住近佑哉、吉田周平、天目純平、 松岡直紀、浅野智之、佐藤秀三、町田豪、右田清志

概要

論文掲載雑誌:「Immunological Medicine」 (December 15, 2023)

補体関連分子であるC5aは、炎症部位へ免疫細胞を動員し炎症の惹起・制御に関与します。同様にインターロイキン1β(IL-1β)はインフラマソームの活性化を介して産生され、炎症性疾患で重要なサイトカインです。両者とも炎症に関わる重要な分子ですが、その関連性については十分に解明されていません。そこで、ヒト末梢血単核球細胞(PBMCs)をC5aで刺激し、IL-1βの産生が誘導されるかを検討しました。C5aの刺激により、IL-1βの産生は亢進し、さらにその前駆物質であるpro-IL-1βの発現も亢進していました。通常、IL-1βの産生にはCaspase-1の活性化を伴うことから、フローサイトメトリー法を用いてactive caspase-1を確認したところ、CD14陽性単球で発現が亢進していることがわかりました。その他、T細胞、B細胞ではcaspase-1の活性化はみられませんでした。

さらにCD14陽性単球を除去したPBMCsではIL-1βは産生されず、リンパ球を除去したPBMCsではIL-1βの産生を認めました。

これらのことから、C5aはCaspase-1の活性化を介してIL-1βの産生を誘導すること、またその産生にはCD14陽性単球が関与していることを明らかにしました。(藤田  雄也)

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