スイス科学誌「Cancers」掲載(令和5年1月16日)

E3 Ubiquitin Ligase NEDD4 Affects Estrogen Receptor α Expression and the Prognosis of Patients with Hormone Receptor-Positive Breast Cancer

E3ユビキチンリガーゼNEDD4はエストロゲン受容体αの発現とホルモン受容体陽性乳がん患者の予後に影響する

名取穣助教のポートレート。白衣を着て、眼鏡をかけた医師の写真。

名取 穣(なとり・ゆたか)

医学部 腫瘍内科学講座 助教

研究グループ

福島県立医科大学 腫瘍内科学講座:名取穣 須賀淳子 徳田恵美 佐々木栄作 阿左見祐介 佐治重衡福島県立医科大学 乳腺外科学講座:立花和之進 野田勝 大竹徹医療-産業トランスレーショナルリサーチセンター:今井順一 渡邉慎哉(株)ニッポンジーン:本間玲子

概要

論文掲載雑誌:「Cancers」 (令和5年1月16日)

ユビキチンリガーゼはタンパク質をユビキチン化しプロテアソームで分解させる.本研究では,ユビキチンリガーゼであるNEDD4が乳癌のエストロゲン受容体αの分解に関わっているかを検討した.またNEDD4の発現が、乳癌に対するホルモン療法の治療効果と関連するかについて検証した.

エストロゲン受容体α陽性乳癌細胞MCF-7とT-47DのNEDD4を欠失させると,エストロゲン受容体αの発現量が増加した.これは,NEDD4の欠失によりエストロゲン受容体αが分解されずに蓄積したことが予想される.NEDD4欠失乳癌細胞は,エストロゲン刺激による細胞内シグナル伝達が増強し,細胞増殖も亢進した.乳癌に対するホルモン療法を模した細胞実験では,NEDD4欠失乳癌細胞の増殖が著明に抑制された.ホルモン受容体陽性乳癌患者143人の予後を調べたところ,NEDD4のmRNA発現量が少ない患者の予後が良好であった.

これらの結果より,NEDD4がエストロゲン受容体αの発現量に影響を与え,それがホルモン受容体陽性乳がん患者の予後に影響を与えている可能性がある.

連絡先

  • 公立大学法人福島県立医科大学 医学部 腫瘍内科学講座
  • 電話:024-547-1111(代)
  • FAX:024-547-1514
  • 講座ホームページ: http://www.onco.fmu.ac.jp/
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