第35回日本小児泌尿器科学会総会・学術集会 第14回優秀論文賞(学会誌部門)(令和8年7月受賞)
DETECTION OF SECONDARY TETHERED CORD SYNDROME DUE TO THE WORSENING OF LOWER URINARY TRACT DYSFUNCTION: A CASE REPORT
下部尿路機能障害の増悪を契機に診断に至った二次性脊髄係留症候群
桐花 悠介(きりはな・ゆうすけ)
泌尿器科学講座 病院助手
研究グループ
桐花悠介、佐藤雄一、長谷川暁久、吉田祐樹、今井仁美、滝浪瑠璃子、松岡香菜子、星誠二、胡口智之、小川総一郎、小島祥敬
今回の受賞について
日本小児泌尿器科学会
日本小児泌尿器科学会は、子どもの腎尿路・生殖器疾患の診療と研究に携わる泌尿器科医、小児外科医、小児科医、コメディカルが協力し、この分野の学術発展と社会貢献に寄与することを目的として、1992年(平成4年)に設立された学術団体です。
賞について
優秀論文賞は、日本小児泌尿器科学会が、小児泌尿器科学の発展に寄与する優れた論文を、基礎研究、臨床研究、症例、学会誌の各部門で顕彰する賞です。本論文は『日本小児泌尿器科学会雑誌』第34巻第1号(2025年)に掲載され、第14回優秀論文賞(学会誌部門)に選出されました。
概要
脊髄の手術後には、成長や手術部位の癒着などにより脊髄が再び牽引され、二次性脊髄係留症候群を生じることがあります。下肢の運動障害や排尿・排便機能障害が進行する可能性がありますが、早期診断の基準や、脊髄係留解除術による尿路機能の改善効果は明確ではありません。本論文では、乳幼児期に脊髄疾患の手術を受け、その後も排尿管理を続けていた小児症例において、膿尿、下腹部痛、導尿量の変化、膀胱変形、膀胱尿管逆流の増悪などを契機に、膀胱内圧測定による再評価を行いました。その結果、膀胱の不随意収縮(排尿筋過活動)や、膀胱の柔らかさ(膀胱コンプライアンス)の低下を確認し、MRIなどによる評価と脳神経外科との連携を経て、脊髄係留解除術を実施しました。術後には症状に加え、膀胱内圧所見、膀胱変形、膀胱尿管逆流の改善が得られました。本研究は、脊髄手術後の長期管理において、下部尿路機能のわずかな悪化を見逃さず、適切な時期に膀胱機能を再評価して脳神経外科と連携することが、早期診断と尿路機能の維持・改善につながる可能性を示したものです。(桐花悠介)
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 泌尿器科学講座
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