第66回日本リンパ腫学会学術集会・総会 2025年度理事長賞(令和8年6月受賞)
Hans’s algorithm and MYD88L265P mutation may affect prognosis of primary central nervous system B-cell lymphoma
Hans分類とMYD88 L265P変異は原発性中枢神経系B細胞リンパ腫の予後に影響を及ぼす可能性がある
岡 佑香(おか・ゆうか)
病理病態診断学講座 助教
研究グループ
岡 佑香、山田 匠希、武田 萌、橋本 優子
今回の受賞について
日本リンパ腫学会
リンパ腫及び類縁疾患において、病因・病態を解明し、診断精度、治療成績、患者の生活の質を向上させることを目的とした学会である。
賞について
各年の1月1日から12月31日の間にJournal of Clinical and Experimental Hematopathologyに掲載ないし未掲載でも採択可とされたoriginal articleのうち、理事長と編集委員会によって優秀論文と判定された2編の論文に対し、理事会の承認を得て、総会で授与される。
概要
中枢神経系に発生するリンパ腫は、WHO分類第5版の原発性中枢神経系大細胞型B細胞リンパ腫 (primary central nervous system large B-cell lymphoma:PCNS-LBCL) が大部分を占める。PCNS-LBCLは全て成熟胚中心を経たB細胞の特徴を示すとされ、免疫組織化学的なHans分類のnon-germinal center B-cell-like phenotype (non-GCB型) に含まれる。遺伝子学的にPCNS-LBCLはMYD88 L265P および CD79B Y196に点変異を示すことが多い。
我々は、自施設の原発性中枢神経系B細胞リンパ腫42例を対象に、臨床病理学的所見、分子学的特徴を調べ、GCB型とnon-GCB型の間でMYD88 L265P および CD79B Y196の点変異の頻度、治療反応や予後に違いがあるかを検討した。
GCB型は12例、non-GCB型は30例であった。両型間で性別、腫瘍の位置や大きさ、腫瘍細胞の形態、MYD88 L265PとCD79B Y196の点変異の頻度に差はなかった。年齢が低いこととR-MPV療法(リツキシマブ、メトトレキサート、プロカルバジン、ビンクリスチン)の施行は独立した予後良好因子であった。GCB型はnon-GCB型に比べて、全生存期間と無増悪生存期間が長い傾向があった。全生存期間はGCB 型かつMYD88 L265P変異がない群、GCB型かつMYD88 L265P変異がある群、non-GCB型の順に、無増悪生存期間はGCB型、non-GCB型かつMYD88 L265P変異がない群、non-GCB型かつMYD88 L265P変異がある群の順に、良好である傾向があった。以上の結果から、原発性中枢神経系B細胞リンパ腫において、Hans分類とMYD88 L265P変異の有無が予後予測に有用である可能性を推測した。(岡佑香)
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