第154回理学療法科学学会 学術大会長賞(令和8年3月受賞)

東日本大震災前からの⻑期推移で見る被災高齢者の BMI 変化:仮設住宅入居経験と肥満・低体重リスクの関連

福島県立医科大学の助手、小河原崚氏のポートレート写真。白衣を着て微笑む姿。

阿部 暁樹(あべ・としき)

放射線健康管理学講座 講座等研究員

研究グループ

阿部暁樹1、齋藤宏章1,2、森山信彰3、小坂真琴1,2、伊東尚美1、趙天辰1、山本知佳1、原田文植2,4、西川佳孝5、越智小枝6、岡崎可奈子7、坪倉正治1

1福島県立医科大学 医学部 放射線健康管理学講座
2相馬中央病院 内科
3国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 身体活動研究センター 運動疫学研究室
4福島県立医科大学 医学部 災害医療支援講座
5京都大学 医学研究科 健康情報学
6東京慈恵会医科大学 臨床検査医学講座
7福島県立医科大学 保健科学部 理学療法学科

今回の受賞について

理学療法科学学会

理学療法科学学会は、理学療法に関する学術・科学の振興と、国民の健康増進、さらには国際協力を目的とした学術団体です。理学療法の学問的発展のみならず、「国民の健康の保護」や「国際的な技術支援」を通じて、広く社会に貢献することを目指しています。

賞について

学術大会において、特に優秀な研究発表(演題)に対して贈られる賞です。選考委員による審査を経て、研究の独創性、論理構成、理学療法への貢献度が高いものが選出されます。

概要

本研究は、東日本大震災による仮設住宅入居(TH)が、福島県相馬市の高齢者のBMIに及ぼす影響を14年間にわたり調査したものです。

震災前からの縦断データを用い、1,165名を対象に多変量Cox比例ハザードモデルで解析を行いました。

その結果、TH群は対照群に比べ、年齢や合併症などを調整後も肥満(BMI 25.0以上)への移行リスクが有意に高いことが判明しました(aHR: 1.77)。一方で、低体重への移行については両群間に有意な関連は見られませんでした。

この結果は、住環境の激変が低栄養ではなく、むしろ長期的な肥満の定着を招く要因となった可能性を示唆しています。震災から10年以上が経過してもなおリスクが持続している点は、公衆衛生上の重要な知見です。災害支援においては、急性期のみならず、住環境変化を経験した集団への超長期的な体重管理支援が不可欠であると結論付けています。(阿部暁樹)

連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 放射線健康管理学講座
電話:024-547-1891(内線:5401)
メールアドレス:a-toshi@fmu.ac.jp(スパムメール防止のため一部全角表記しています)

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