第115回日本病理学会総会 日本病理学賞(令和8年4月受賞)

Molecular Pathology of Cell Adhesion Transcription Factor Signaling

細胞間接着-転写因子シグナルの分子病理学

福島県立医科大学の助手、小河原崚氏のポートレート写真。白衣を着て微笑む姿。

千葉 英樹(ちば・ひでき)

基礎病理学講座 主任教授

今回の受賞について

日本病理学会

日本病理学会は1911年(明治44年)に創設されました。本学会は「病理学に関する学理及びその応用についての研究の振興とその普及を図り、もって学術の発展と人類の福祉に寄与すること」を目的としています。

賞について

日本病理学賞は、「病理学領域における特定の課題について卓越した業績を挙げていると判断された会員が、その課題の業績を日本病理学会総会において報告し、もって会員の病理に関する学術、医療の振興とその普及に資すること」を企図して設けられた宿題報告の担当者に授与されます。宿題報告は1911年開催の第1回総会から行われ、100年以上の歴史があります。過去には山極勝三郎博士(コールタール発がん、1915)、福島県立医科大学とも関連の深い吉田富三博士(吉田肉腫、1947)、落合淳志博士(がん微小環境、2006)、宮園浩平博士(TGF-βシグナル、2011)らが受賞されています。

概要

受賞者は、Creリコンビナーゼとヒトエストロゲン受容体(ER)との融合タンパク質Cre-ERおよびCre-ERTを開発し、世界に先駆けてコンディショナルノックアウトマウスの礎を築いた。またこの系を駆使し、核内受容体の機能を細胞・個体レベルで明らかにした。

そのような中で受賞者は「特定の細胞間接着分子とある核内受容体の機能が酷似していること」に着眼し、細胞間接着-転写因子シグナル経路を発見した。次いで過剰な細胞間接着-転写因子シグナルが様々ながん種の増悪に寄与することを見出した。

加えてこの発見を契機に、「リガンド非依存的な生理活性部位」を標的とする新たな作用機序を示す核内受容体薬を開発中である。

このように受賞者は「細胞表面から転写因子に至るシグナル」いわゆる“outside-in signal”の研究に取り組んできた。特にがんのoutside-in signalに着目して病態解明を目指し、その知見を新規診断・治療法の開発に展開してきた。(千葉英樹)

連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 基礎病理学講座
電話:024-547-1168
FAX:024-548-7151
講座ホームページ:http://www.fmu.ac.jp/education/medicine/department/p2/
メールアドレス:hidchiba@fmu.ac.jp(スパムメール防止のため一部全角表記しています)

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