腫瘍内細菌叢とTLSの関連

猪俣　頌（いのまた・しょう）

呼吸器外科学講座　助手

今回の受賞について

日本バイオセラピィ学会

日本バイオセラピィ学会は生物活性物質（BRM）の研究を通して、がんとがん関連疾患に対する生物学的治療に貢献することを目的として発足し、1999年より「日本バイオセラピィ学会」に名称変更後、抗体療法、細胞療法、分子標的治療あるいは免疫治療といった新たなバイオセラピィの開発および実践の場として貢献しています。

賞について

バイオセラピィ学会奨励賞とは、日本バイオセラピィ学会の発展に寄与するものと期待される若手会員（演題申込時点で40 歳未満）の研究発表に対し授与される賞です。

概要

腫瘍微小環境における三次リンパ組織構造（TLS）は、様々な癌種での予後や免疫療法の良好な転帰と相関することが報告されています。しかし、その形成のメカニズムは十分に解明されていません。腫瘍関連微生物が、マウス大腸癌モデルにおいてTLSの発生を誘導することや、肝細胞癌でのTLSの多寡と特定の腸内細菌の多寡が関連することが報告されており、これを踏まえ、我々はヒト肺癌におけるTLS形成に腫瘍内細菌叢が関与する可能性があると考えました。当科での肺癌手術検体を用いて、TLSの多寡と関連する腫瘍内細菌叢を同定し、その結果の一部を報告しました。（猪俣　頌）