肺病変を合併した多発血管炎性肉芽腫症にアバコパンによる治療を行った一例

田中　竜太郎（たなか・りゅうたろう）

呼吸器内科学講座　専攻医

今回の受賞について

【日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会総会】

サルコイドーシスや肺結核、非結核性抗酸菌症などの肉芽腫性疾患を研究し、その進歩・普及を図る目的で組織された学会です。本学会は、肉芽腫性疾患研究のさらなる進歩のために年1回全国学会を開催しています。

【賞について】

YIA優秀賞とは、当日発表した演題の中から発表内容や質疑応答について選考委員の審査を受けて授与されるYoung Investigator Awardです。 

概要

肺病変、急速進行性糸球体腎炎を呈していた多発血管炎性肉下種症の67歳男性に対して、呼吸状態の増悪、胸部陰影の増悪を呈したことからステロイドパルス療法、シクロフォスファミドによる寛解導入療法を施行した。その後、骨髄抑制に伴いシクロフォスファミドを中止し、アバコパンへと切り替えたが、その後も呼吸状態、胸部陰影の増悪なく経過し、ステロイドの漸減を行うことができた。アバコパンのANCA関連血管炎の肺病変に対しての効果に関してはエビデンスに乏しいが、肺病変に対してもアバコパンが有効である可能性を示した。（田中　竜太郎）