令和7年度日本皮膚科学会・雑誌論文賞(2025年5月受賞)

過去20年間に当科で経験した結節性紅斑における,基礎疾患および関連因子の変遷

草野 美沙希(くさの・みさき)

皮膚科学講座 病院助手

研究グループ

草野美沙希、山本俊幸

今回の受賞について

【第124回日本皮膚科学会総会】

日本皮膚科学会は、皮膚科学に関する研究・境域と医療について、その連絡連携を図り、皮膚科学の進歩・普及に貢献し、もって学術文化の発展に寄与することを目的として、全国各地の約1万人の会員によって組織されている学会である。年に1回開催される総会は、全国規模の皮膚科の学術集会であり、最新の研究成果や診療の知見が広く共有される機会となっている。

【賞について】

 「日本皮膚科学会・雑誌論文賞」とは,日本皮膚科学会雑誌(以下日皮会誌)に質の高い独創的で優れた論文の掲載を奨励することを目的として1997年に設けられた。前年中に刊行された日皮会誌の論文から、独創的で優れた成果を上げた論文に対して授与される。

概要

過去20年間に経験した結節性紅斑患者101名116症例について、前半10年と後半10年に分けて、発症に関連する因子や基礎疾患を後方視的に比較検討した。前半から後半にかけてベーチェット病、薬剤、炎症性腸疾患が増加し、感染症が減少した。

感染症が減少した理由として、抗菌薬や抗ウイルス薬の開発や普及により、感染症の割合が低下した可能性や結核の有病率が低下したためと考えられた。

また、薬剤については抗生剤や消炎鎮痛剤などに替わり、分子標的薬が増加しており、今後も新規薬剤による結節性紅斑の割合が増えていくことが予想された。(草野 美沙希)

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