miRNA-148a-3pはPD-L1を介してミスマッチ修復欠損大腸癌における免疫抑制的微小環境を制御する

芦澤　舞（あしざわ・まい）

医学部　消化管外科学講座　博士研究員

岡山　洋和（おかやま・ひろかず）

医学部　消化管外科学講座　講師

河野　浩二（こうの・こうじ）

医学部　消化管外科学講座　主任教授

今回の受賞について

The Best of The AACR Journals 2021

AACRは癌の疫学、予防、診断、治療についての臨床・基礎研究を担う横断的な学会であり、癌関連では世界最大規模の団体です。AACRは、Cancer Discovery、Cancer Research、Clinical Cancer Researchをはじめとした主要な癌専門学術誌を発行しています。

賞について

2019～2020年に発行されたAACRの癌専門誌全9誌において最も引用された論文40編が選出され、2021年版の「The Best of the AACR Journals」として発表されています。当論文がそのうちの1本として紹介されました。

概要

マイクロRNA（miRNA）は、21-25塩基の短いRNA分子で、標的遺伝子のメッセンジャーRNA（mRNA）に結合して、タンパクへの翻訳を抑制します。当研究では、網羅的なmiRNA・mRNA発現解析から、特にミスマッチ修復欠損を示す大腸癌においてmiRNA-148a-3pが免疫チェックポイント分子であるPD-L1を抑制する可能性を見出しました。さらに、大腸癌細胞株とT細胞の共培養モデルなどを用いて、miRNA-148a-3pがPD-L1の抑制を介して大腸癌の腫瘍免疫抑制機構に関与することを示しています。