保健医療交流事業 (講演会) レポート
こどもの救急について~家庭でできる応急処置・上手なお医者さんのかかり方~
講演会は令和8年1月22日(木)10時00分よりふれあい交流センターを会場に開催された。講師は小児科学講座 渡部真裕学内講師が務められた。講演は「こどもの救急について~家庭でできる応急処置・上手なお医者さんのかかり方~」をテーマに行われた。
講演内容
- 1.障害と事故の考え方
「階段からの転落」「誤飲」「火傷」「溺水」など、身近な子どもの事故例を挙げた上で、これらが本当に避けられないものかを考える必要がある。
事故は、
障害(Injury):予見可能で予防できるもの
事故(Accident):予見不可能なもの
に分けて考えられており、多くの子どもの事故は前者に該当する。
年齢や性別など変えられない要因ではなく、階段にゲートを設置する、危険物を子どもの手の届かない場所に置くなど、環境要因を変えることが重要である。 - 2.重大事故と類似事例
重大事故1件の背後には、約30件の軽微だが危険な事例、さらに約300件のヒヤリ・ハットが存在するとされ、報道される事故は氷山の一角に過ぎない。日本では、防ぎ得る事故により年間約150人の子どもが亡くなっている。 - 3.日本小児科学会の情報提供
日本小児科学会のホームページには、保護者や保育士向けに、事故・ヒヤリハット事例や予防策が公開されている。類似事例も一覧で確認でき、誤飲、浮き輪による溺水、たばこ・電子たばこの誤飲など、最近増えている事例がある。これらはすべて予見可能であり、事前の環境整備で防げる。 - 4.頭部外傷の対応
頭を打った場合、重大な後遺症に至るケースは少ないが、以下の症状がある場合は早急な受診が必要。
意識がぼんやりしている、反応が悪い、けいれん、繰り返す嘔吐、普段と明らかに様子が違うなど
特に「保護者がいつもと違うと感じる直感」は重要であり、迷ったら医療機関に相談することが大事。
また、受傷後48~72時間は注意深く観察する必要がある。 - 5.打撲・骨折の見分け
打撲では、安静・冷却・圧迫・挙上(RICE処置)が基本となる。一方で、明らかな変形、急激な腫脹、強い痛みで動かせない場合は骨折の可能性が高く、速やかな受診が必要。 - 6.虫刺されの対応
通常の虫刺されは、洗浄、冷却、かゆみ止め使用で対応可能。
ただし、全身の蕁麻疹、呼吸困難、意識障害などが出現した場合はアナフィラキシーが疑われ、直ちに救急要請が必要である。虫よけ製品は、年齢制限や成分表示(DEETの有無)を確認して使用することが重要。 - 7.擦り傷の正しい処置
現在の標準的な考え方として、止血、十分な洗浄、消毒は行わない、乾燥させず湿潤環境を保つの4点が重要と説明。市販の湿潤療法用絆創膏は、治癒を早め、傷跡を残しにくい。
動物や人に噛まれた傷、深い傷、出血が止まらない場合、感染兆候がある場合は医療機関受診が必要。 - 8.一次救命処置(BLS)の重要性
一次救命処置とは、倒れた人の命をつなぐため、最初に周囲の人が行う処置である。子どもでは、呼吸障害が原因で心肺停止に至ることが多く、人工呼吸を含めた対応が特に重要。
反応・呼吸の確認後、応援要請、119番通報、AED手配を最優先で行い、その後に胸骨圧迫を開始する。
胸骨圧迫は、年齢・体格に応じて方法は異なるが、胸の中央をしっかり押すことが最も重要。
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