講座ブログ
エフティーユー
2018/06/05
地域・家庭医療学講座の某教育拠点にて
専攻医と指導医の会話から・・・
「エフティーユー」って何ですか?
専攻医(専) 診療所の研修をはじめて1ヶ月位立つんですが、この診療所は皮膚の相談もたくさん来ますね。患者さんの中には「皮膚ならここがいいよ、って知り合いに勧められたんです」って言う人もいました。
指導医(指) ありがたいことですね。このあたりは皮膚科のクリニックも少ないから、住民の皆さんは受診先に悩んでいる様子も感じられますね。ちなみに、外用薬の塗り方指導ってどうしてますか?
専 えっと・・・あまり薄く塗り広げなくていいですよ、みたいなかんじで漠然とやってました。
指 ということは学習のチャンスですね。話ができて良かったです。では「エフティーユー」って知ってますか?
専 福島のローカルTV局!
指 それはTUFです。ブログの読者には伝わりません。
専 はい、正直に言います。わかりません。
指 1989年のLancet に掲載されたこの論文が最初のようです。人差し指の先から第一関節(DIP関節)までの長さで、チューブから軟膏を出した量を 1 FTU (Finger Tip Unit)と定義しました。この論文には、この量が約0.5gと見積もられています。この量が手の面積2つ分塗れる量、と言われています。
専 なるほど〜 そうなんですね。
指 ところが、これは私も最近知ったんですけど、1 FTUが実は0.5gではない、という日本からの論文があるんです2)。チューブの口径によって異なるため、日本でよく使われているステロイド軟膏チューブで検討した論文です。これだと 1 FTU = 0.25g となっています。
専 え〜、基準が違うんじゃ、どの程度塗ったらいいかわからないですね・・・。
指 日本では、ステロイド軟膏も 1 FTU = 手の面積2つ で塗布の始動しているところが多いと思うので、私は今のところ同じく手の面積2つ分、で指導しています。患者さんが指示通り塗っていても改善しない、というときには量の問題、回数の問題、ステロイドのランクの問題、そしてステロイドが効かない病態の可能性を考えなければですね。
専 ありがとうございます! さっそくこれからの患者さんへの説明に使っていきます!
こうして専攻医と指導医の「学習の旅」は続く・・・
1. Finlay, A. Y., Edwards, P. H., & Harding, K. G. " Fingertip unit" in dermatology. The Lancet, 334(8655), 155. 1989.
2. DEKIO, I., & MORITA, E. The weight of a finger-tip unit of ointment in 5-gram tubes. Journal of Dermatological Treatment. 22:302-303. 2011.
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