2025年度BSLアドバンストコースの感想について
2025年度も5月26日~6月20日、6月23日~7月18日に各2名の学生さんがBSLアドバンストコースの実習を行いました。下記の通り感想をご紹介いたします。
期間中、学外実習を受け入れてくださいました関連病院の先生方には、この場をお借りして御礼申し上げます。
1グループ目 5月26日~6月20日
岩下哲平さん
外病院研修
大原医療センター
今回は回復期リハビリテーション病棟の見学をさせていただきました。入院中の患者さんについて、入院時から現在までの経過を丁寧にご説明いただき、リハビリテーションがどのように進められているのかを具体的に知ることができました。また、医師のみならず多くの職種が連携し、それぞれの専門性を生かして患者さんの機能回復を支援している様子を実際に見ることができ、多職種連携の重要性を実感しました。見学を通じて、神経内科領域の疾患だけでなく、骨折や脊柱疾患といった整形外科的な問題を抱えた患者さんに対しても、それぞれの状態に応じたリハビリのアプローチが行われていることを学ぶことができました。今回の見学を通じて、回復期リハビリテーションの実際と、患者さん一人ひとりに合わせた支援の重要性を学ぶことができ、大変有意義な経験となりました。
松村総合病院
今回の実習では、複数の入院患者さんに対して神経診察を行う機会をいただきました。大学病院と比べて入院患者の数が多く、さまざまな疾患を持つ方々と接することができた点が非常に印象的でした。診察だけでなく、画像所見も実際に見せていただき、それらを臨床所見と結びつけて理解を深めることができたのは非常に有意義でした。 また、救急対応の現場にも立ち会わせていただき、限られた時間や情報の中でどのような疾患を念頭に置き、どの診察項目を優先して行うべきかという実践的な判断について教えていただきました。さらに、画像読影の時間も設けていただき、各疾患に特有の所見について丁寧にご指導いただきました。CTやMRIをどのように読んで診断へと結びつけていくのか、そのプロセスを学べたことは非常に貴重な経験でした。
アドバンスト全体の感想
アドバンス実習では、患者さんの診察を行う機会が多くあり、神経診察の手技やその評価方法について実践的に学ぶことができました。神経診察に加えて、認知機能の評価や採血といった基本的な手技にも取り組ませていただき、より実践的な学びを得ることができました。また、総回診では患者さんの現病歴や診察所見を整理し、発表する機会もいただきました。発表の準備を通じて、疾患の理解を深めるとともに、プレゼンテーション能力の向上にもつながったと感じています。指導してくださった先生方は非常に丁寧で親切に対応してくださり非常に有意義な実習となりました。
今野 まいこさん
外病院研修
大原医療センター
主に脳卒中、脊柱管狭窄症、脊髄損傷の回復期の患者さんを中心に、回診やカルテを通して学ばせていただきました。偶然にも、約7ヶ月前に第2クールを回った際、大学病院で診察をした患者さんが、入院されていました。当時は脳梗塞で寝たきりとなり表情も乏しかったのですが、その方が回診時に座位で爪を切りながら笑顔で挨拶してくださったのは大変驚きました。先生に伺ったところ、この患者さんは実は運動麻痺はそこまで重度ではなく、意欲面の部分も大変大きいとのことでした。環境調整や精神的なサポート、リハビリテーションの重要性を改めて感じました。
松村総合病院
長年通院されていたり入退院を繰り返したりしている患者さんが多く、地域に根差した病院であることを実感しました。それ故、医療スタッフと患者さんとの距離が非常に近いことが印象的でした。パーキンソン病や脳卒中といったcommon diseaseから進行性核上性麻痺や多系統萎縮症等の難病まで幅広い疾患を扱っており、市中病院の果たす役割や、長年治療をしていくために深い信頼関係を築くことの重要性を学ばせていただきました。また、実習中に脳梗塞の救急搬送が2件あり実際に診察をさせていただいたこと、病棟で様々な症例の診察をさせていただいたことは大変勉強になりました。
アドバンスト全体の感想
今回の実習を通して、脳神経内科は急性疾患から慢性疾患まで多岐にわたり、患者さんとの信頼関係を築くことや、医療スタッフ、施設間での連携が特に必要とされる診療科であると、改めて感じました。急速に進行してしまう疾患では、早いうちから患者さんやご家族との信頼関係を築いていくことの重要性を学びました。慢性疾患では「病気とどう共存していくか」を患者さんと共に考え、転院・退院先と連携しながら一人一人に合った環境調整を進めていく姿が印象的でした。
また、難治性疾患が多い中で、今回は劇的に改善した症例も経験することが出来、深く印象に残りました。常に進化を遂げている診療科であること、最新の知見を学び続けることの重要性を、身をもって実感しました。
2グループ目 6月23日~7月18日
鹿嶋太智さん
外病院研修
国立病院機構福島病院
2日間大変お世話になりました。初日の午前は検査見学をさせていただきましたが、合間を見つけてはエコーで今映っている構造物や検査結果からわかることを適宜教えていただいたことで、先生が今何をされているかを見失うことなく、理解しながら見学する事ができました。午後からの病棟回診では、病室に入る前に患者さんに関する説明をしていただいたことで、漠然と回診に同行するのではなく、その疾患を頭の中の念頭に置き、現在患者さんはどのような状態にあるかを考えながら回ることが出来ました。また、回診の際に、疾患特有の徴候を説明していただき、今までは教科書の説明や図でしか見た事がなかった徴候を目にすることができ大変勉強になりました。2日目は実際に患者さんが行う視覚や嗅覚の異常を評価する検査を体験し、患者さんは実際にどのような違った見え方や嗅覚異常を示すかを勉強させていただきました。この2日間で大学では経験したことのない症例や徴候、また検査を丁寧に教えていただき大変勉強になりました。2日間と短い間でしたがありがとうございました。
むつみ脳神経耳鼻科クリニック
1日と短い時間でしたが大変お世話になりました。診療が始まる前に、私が脳神経内科領域を勉強していく中で疑問に感じていた、不随意運動を一つ一つ解説して頂いたおかげで頭の中を整理する事ができ、理解を深めことができました。診療中でも、国家試験に関係する内容をメインに諮問していただいただけでなく、最近使われる新しい薬剤についても教えていただき大変勉強になりました。午後はクリニック前の施設で、近隣の皆さんと体操をご一緒させていただきました。単に体を動かす機会だけでなく、実際に集まって会話をする機会であったり、いつも来られている人が来ていない場合は、その人に連絡を入れるというような安否を確認したりする機会でもあるということを実感しました。1日と短い時間でしたが、勉強に加えて、これから高齢化社会が進む中で医師としてどのような取り組みをしていく必要があるかについても考える機会となりました。
アドバンスト全体の感想
アドバンストコースを4週間と長い期間回らせて頂いたことで、入院されている患者さん一人一人の病態を把握し、経過を追う貴重な経験をする事ができました。特に入院時には状態が悪かった患者さんが、治療によって劇的に状態が回復し退院に至るまでの様子を間近で見させていただいたことは大きな学びとなりました。実習ではMMT、腱反射、長谷川式認知機能検査、FAB、Moca-jように様々な神経学的検査を実際に経験させていただき、自分が持っている知識を実際の臨床の場で行う難しさを実感しました。また、新患外来では問診、診察を行う中で、質問の意図まで丁寧に教えていただき、思考過程を学ぶ事ができました。4週間で多くの学びと経験を得る事ができました。ご指導いただきありがとうございました。
松成結衣さん
外病院研修
国立病院機構 福島病院
お忙しい中2日間にわたる実習の機会をいただきましてありがとうございました。大学病院ではなかなか診ることのできない症例を数多く診ることができ、大変勉強になりました。特に、病棟回診でとても丁寧に解説してくださり、初めて診る所見もとても多く勉強になりました。多職種カンファランスに参加させていただき、様々な職種の方がチームの一員として向き合わっておられるご様子がとても印象的でした。
また、実習後には先生方との飲み会にもお誘いいただき、誠にありがとうございました。普段お聞きすることのできない貴重なお話や、先生方の温かいお人柄に触れることができ、大変楽しい時間を過ごさせていただきました。特に、日本酒も大変美味しかったです。
この実習で得た経験を活かし、今後もより一層勉学に励んでまいります。
むつみ脳神経耳鼻科クリニック
お忙しい中実習の機会をいただきまして誠にありがとうございました。地域密着型のクリニックならではの面白さを日々感じながら実習させていただきました。限られた時間の中で、患者さん一人ひとりに寄り添い、丁寧な医療を提供されている先生方のお姿を拝見し、多くの学びを得ることができました。渡邉先生が患者さんと向き合う姿勢に大変感銘を受けました。「優しさとは想像すること」というお言葉がとても印象に残っています。自分の言動が患者さんにどう影響するか、患者さんが何を求めているのか、そしてその背景には何があるのかを常に想像し、笑顔を忘れずに診療に臨むことの重要性を強く感じました。この実習で得た貴重な経験と学びを活かし、将来、私も患者さんに寄り添える医療者になれるよう、今後もより一層精進してまいります。
アドバンスト全体の感想
4週間大変お世話になりました。脳神経内科は漠然と慢性期疾患ばかりのイメージだったのですが、治療が奏功してびっくりするくらい早く回復されている患者さんを多くいらっしゃり、脳神経内科の魅力と医学の力を改めて実感いたしました。神経診察の機会も多く賜り、大変勉強になりました。今後とも一層勉学に励んでまいります。松田先生・田中先生・箭内先生をはじめ、先生方がとても優しく接してくださり、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。