アジア太平洋消化器週間 APDW 2017に参加して

中村 純(平成21年度入局)

【はじめに】

2017年9月23日から26日に香港で開催されました,アジア太平洋消化器週間(Asian Pacific Digestive Week:APDW)2017へ参加する機会を頂きました。前年度のAPDW2016は神戸でJDDWに合わせた形での開催となりましたので,その際に本学会を経験された先生も多かったかと思います。この時期の香港はまだまだ蒸し暑い気候が続いておりましたが,学会参加中は天候にも恵まれ,大変貴重な経験となりました。国際学会に対する考え方は人それぞれあるかと思いますが,同じアジア圏内での学会においても,“世界は本当に広い”と感じますし,“参加しなければ得られない何か”が必ずあると思います。それでは,参加報告させて頂きます。

【APDW2017】

福島県立医大からは,引地拓人先生,入江大樹先生と私の3名での参加となりました。会場は海に面した「Hong Kong Convention and Exhibition Centre」で,香港の中でも重要なイベントや会議,式典の多くがこの場所で行われているようです。

発表は,引地先生が「Effectiveness of Advanced Image Multiple Enhancement (AIME) system for gastrointestinal endoscopic diagnosis using structure-enhanced function」,入江先生が「A case of segmental absence of muscle layer with perforation caused on endoscopic submucosal dissection in circumferential esophageal cancer」,私が「Efficacy and safety of peroral endoscopic myotomy for esophageal achalasia」という演題名で行いました。e-Posterセッションで,日本でいうデジタルポスターと同様の発表形式でした。ブース内に2名の司会の先生がおり,口頭での発表,質疑応答を行いました。3名とも発表時間が近く,それぞれをサポートしながら発表してきました。特に入江先生の発表では,司会の先生からも高い関心を寄せていただき,有意義な討論ができたと思います。もちろん全て英語でのやり取りとなる訳ですが,ネイティブの様な早口でもなく,若干の訛りはありますが比較的理解しやすかった印象です。

アジア太平洋消化器週間APDW 2017での引地先生の発表の様子。
引地先生の発表
中村純がアジア太平洋消化器週間APDW 2017で発表を行っている様子。画面には医療関連のスライドが表示されている。
中村の発表
アジア太平洋消化器週間APDW 2017で発表する中村純先生と聴衆の様子。
入江先生の発表

学会中は,内視鏡関連はもちろん,消化管の機能性疾患,炎症性腸疾患や大腸癌,肝臓疾患など,多岐にわたる分野・内容で口演が行われました。私は特に,内視鏡診断・治療や食道アカラシアに関するセッションに参加致しました。アカラシアには地域性に乏しく,アジア圏でも多数の患者さんがおられるため,そのマネージメントの重要性が論じられていました。内視鏡的筋層切開術(POEM)においては,国際的にも標準的治療への位置付けが進んでいると感じた次第です。当院でもPOEM導入時から良好な成績が得られていることを,先のe-Posterで発表できたことは大変有意義でありました。また病院と学会場を中継で結ぶ,Live Endoscopy Demonstrationが連日行われ,消化器疾患の診断や治療(EUSやESD,ERCP関連手技など)数多くの手技・症例を学ぶことができました。入澤篤志先生の大変素晴らしいEUSライブも拝聴致しました。それぞれが,濃厚に学会を堪能したと思いますので,今後の診療に生かせるようさらに努力していきたいと思います。

アジア太平洋消化器週間APDW 2017でのLive Endoscopy Demonstrationの様子。医療従事者が手元の映像を見ながら説明している。
Live Endoscopy Demonstrationの様子
アジア太平洋消化器週間の会場で、医療スタッフがEUSライブデモを行っている様子。
入澤篤志先生のEUS ライブデモ

【香港】

開催地の香港は,中国南東部にある特別行政区となっており,御存知の通り,かつてイギリスの植民地でした。中心部には超高層ビルが建ち並ぶ近代的な都市の様相を呈しますが,一歩路地裏に入ると,比較的古い,雑多で密集する建築物が散見され,近代化とそれ以外が混在した不思議な街という印象でした。成田からの直通便で4時間40分程度であり,比較的アクセスしやすい場所となっています。国際学会では,時に息抜きも重要です。学会後には,香港を知るべく街へ足を伸ばし,散策をしました。ヴィクトリアピークからの夜景,シンフォニー・オブ・ライツ,ネイザンロード,ブルース・リーのブロンズ像が立つガーデン・オブ・スターズなどの観光はもちろんのこと,おいしい食事も堪能できました。

ブルース・リーのブロンズ像が立つガーデン・オブ・スターズの風景。背景には高層ビルが見える。
ガーテン・オブ・スターズのブルース・リー像
セントラルヒルサイドのエスカレーターを利用する人々が行き交う様子。
セントラル ヒルサイド エスカレーター
ビクトリアハーバーを背景にした香港の夜景、色とりどりのビルがライトアップされている。
ビクトリアハーバーの夜景
ヴィクトリアピークから見た香港の夜景、ビル群がライトアップされている。
ヴィクトリアピークからの夜景

【おわりに】

APDW2017に参加させていただいたことで,消化器内視鏡医として,アジアにおける日本の位置づけ,最新の診療・診断の知見,これから日本が担っていくべき役割について理解を深めることができました。開催規模としてもそれほど大きくなく,参加しやすい国際学会でした。
最後になりますが,今回このような機会を与えていただき,ご指導を頂いております大平弘正教授をはじめ,学会中の業務を負担していただきました医局員の皆様方,内視鏡診療部メディカルスタッフの皆様方に感謝申し上げ,この報告を終えたいと思います。

APDW2017の会場入り口で記念撮影をする3人の医師。
APDW2017 会場入り口にて

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