教室紹介
災害こころの医学講座は、災害が人のこころにどのような影響を及ぼすのか、そして被災者に対してどのような精神保健上のケアや治療が必要となるのかを考え、検証し、実施・提言するという役割を担っています。それに伴い、福島県から委託を受けて「県民健康調査」を実施する放射線医学県民健康管理センターや、心のケアを行うふくしま心のケアセンターなどと協働し、実践活動を行っています。
また、対人援助職の方や一般の方を対象に、災害・死別を経験された方や、PTSD・悲嘆・不安・抑うつといった困難を抱えている方へのメンタルヘルスケア、マインドフルネス、認知行動療法に関する研修会や講演会を行っています。研修や講演についてご依頼やご質問等がありましたら、「講座へのお問合せ」よりご連絡ください。
被災地コミュニティの形成に向けた心のケアフレームワーク
当講座では、福島の被災地コミュニティにおいて被災者と移住者の双方に着目したコミュニティの再生を目指し、調査や支援が十分ではない避難地域への移住者に対するケアについて検討しています。
2022年度から2024年度にかけて実施された第一期研究では、「被災地コミュニティの形成に向けた心のケアフレームワーク」を作成し、帰還者と移住者による共生的発展をめざした取り組みを進めてきました。2025年度から取り組んでいる第二期研究の概要は、「第二期環境省研究紹介.pdf」よりご確認ください。
短時間の動画セミナー「災害時における自治体職員の心のケア」
短時間の動画セミナー「災害時における自治体職員の心のケア」を、自治労福島県本部からの受託研究「福島県内で就労している行政職員のメンタルヘルスの実態に関する研究」の一環として作成しました。
自治体職員の方は、災害が生じると長期間厳しい支援活動にあたらなければいけません。災害時にはどのような心の問題が生じやすいのか、問題が生じたときにどのように対応するのかを理解していただくために、忙しいときにも見ていただける短時間の動画を作成しました。災害の準備の1つとして、また、日々の心のケアとしてぜひご覧ください(セミナー講師の所属は2025年3月現在のものです)。
研修会・講演会のテーマ
災害におけるメンタルヘルスケア
- PTSDやトラウマの症状
- 福島県の被災者や避難者のメンタルヘルス
- 「県民健康調査」こころの健康度・生活習慣に関する調査(ここから調査)とそれに基づく支援
- 災害時の支援者の疲弊とその支援
- 被災地におけるアルコール関連問題
- 災害と子どものメンタルヘルスケア
- 自殺予防対策と危機介入(ゲートキーパー養成講座を含む)
- サイコロジカル・ファーストエイド(外部講師による実施を含む)
- 新型コロナウイルス感染症とメンタルヘルス など
悲嘆、死別、あいまいな喪失に対するメンタルヘルスケア
- 悲嘆のケアと遺族対応の基本
- ターミナル期から死別後までの家族・遺族の支援
- 死別を体験した子どもの支援
- 複雑性悲嘆の概念およびその支援と治療的介入
- 災害時の遺族支援
- あいまいな喪失をかかえる家族への支援
- マインドフルネスを活用した支援者のセルフケア など
対人援助スキルトレーニング
- 傾聴や共感、リラクセーション法(呼吸法や筋弛緩法)
- M.I.N.I.やPHQ-9などによる構造化アセスメント
- セルフケアやストレスマネジメントの実践のポイント
- 認知行動療法の基本(認知再構成法、エクスポージャー法、行動活性化、問題解決療法など)
- マインドフルネスに基づく瞑想法や呼吸法
- 不安症、パニック症、社交不安症、特定の恐怖症、うつ病に対する認知行動療法
- 睡眠の質を高めるための心理社会的スキルのポイント など