研究成果が掲載されました

 臨床検査学科の義久精臣教授(共著者)らの研究論文が「American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology」に掲載されました。

【論文タイトル】

Targeting CSF1R attenuates the development of pulmonary arterial hypertension through CCL2 CSF1Rを対象とした治療がCCL2を介して肺動脈性肺高血圧症の進行を抑制する
 

【論文概要】

 肺動脈性肺高血圧症の病態には、肺動脈平滑筋細胞の異常増殖や肺動脈周囲マクロファージが重要な役割を演じている。本研究では、マクロファージの分化・増殖を制御するColony stimulating factor 1 receptor(CSF1R)に着目し、CSF1Rの肺動脈性肺高血圧症での意義を検討した。肺高血圧症患者の肺組織では、マクロファージやCSF1R陽性細胞が有意に多く浸潤していた。肺高血圧症モデルマウスにおいてアンチセンス核酸医薬を用いて肺のCsf1rをノックダウンすると肺動脈周囲CD68陽性マクロファージ、M2マクロファージの数が減少し、肺高血圧が改善した。CSF1R阻害薬の投与においても、同様に肺高血圧症モデル動物の肺高血圧が改善した。さらに、肺動脈性肺高血圧症の発症メカニズム解明のため、C-C motif chemokine ligand 2 (CCL2) に着目した。肺由来M2マクロファージの培養上清で、肺動脈平滑筋細胞を培養すると増殖能が亢進し、CCL2中和抗体を加えた培養では増殖能が抑制された。これらの結果から、M2マクロファージ由来のCCL2が、肺動脈リモデリング悪化に関与することが明らかとなった。以上より、CSF1RとM2マクロファージがCCL2を介して肺高血圧症の病態を進行させていることが明らかとなり、CSF1Rが新たな治療標的となる可能性が示唆された。

 本研究は、本学循環器内科学講座及び輸血・移植免疫学講座の教員方との共同で実施しました。

福島県立医科大学研究成果HP:https://www.fmu.ac.jp/research/results/seika/2025/20250618_10.html

PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40986747/

PMID: 40986747

DOI: 10.1165/rcmb.2025-0059OC

論文URL:https://www.atsjournals.org/doi/epdf/10.1165/rcmb.2025-0059OC?role=tab

https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1165/rcmb.2025-0059OC?role=tab&journalCode=ajrcmb

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