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平成30年度 「適応回路シフト」研究室滞在支援制度報告

派遣者:吉野 倫太郎、森谷 叡生  申請者:筒井 健一郎(計画班)
    (東北大学 生命科学研究科 脳神経システム分野)
滞在先:高田 昌彦先生(公募班)
    (京都大学 霊長類研究所総合脳システム分野)

 
 私達の所属する研究室では、前部帯状回や内側前頭前野を含む内側前頭皮質の気分・情動調節機能に関する研究を行っています。これまでに、ニホンザルの内側前頭皮質腹内側部へ抑制性の頚頭外磁気低頻度反復刺激を施すことによって、日中の自発的身体活動量や、意欲の低下、社会的ひきこもりやコルチゾールレベルの上昇が引き起こされることが明らかになりました。
 今回、私達はこれらの症状の背景にあると考えられる内側前頭皮質と辺縁系領域を結ぶ回路、特に内側前頭皮質と強い結合関係を持つことで知られる扁桃体と側坐核に着目し、内側前頭皮質とこれらの領域の詳細な解剖学的結合関係を明らかにすることを目的として、本研究室滞在支援のもと、京都大学霊長類研究所の高田明彦先生の研究室に滞在し、逆行性二重トレーシング実験を行うとともに、その手法について学びました。井上謙一先生の作成されたAAVベクターを用いることで、標的とした領域においてとてもはっきりと神経細胞の蛍光ラベルを得ることができ、現在その解析を進めています。滞在中は、注入座標やトレーサーの注入量などの実験条件の設定、標的部位へのAAVベクターの注入実験、そして標本作成に至るまで細部にわたりご指導いただきました。染色結果の細かい解釈についても親身になって教えて頂き大変勉強になりました。今回の経験をもとに、所属研究室においても同様の実験を行えるように準備を進めています。
 最後に、この度は数度に及ぶ滞在にもかかわらず快く引き受けてくださった高田先生並びに井上先生、様々な実験手技を多忙な時間を割いて教えてくださった田辺さん、木村さん、並びに研究室の皆様、そしてこのような機会を与えてくださった本領域の皆様に心より御礼申し上げます。



*実験風景(写真 手前:森谷、中:木村さん、奥:吉野)

投稿日:2019年09月03日