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平成29年度 「適応回路シフト」研究室滞在支援制度報告

派遣者:恩田 将成  申請者:小坂田 文隆(公募班)
    (名古屋大学 大学院創薬科学研究科 基盤創薬学専攻 創薬生物科学講座 細胞薬効解析学分野)
滞在先:松崎 政紀先生
    (東京大学 大学院医学系研究科 機能生物学専攻 生理学講座 細胞分子生理学)

 
 神経活動を記録する際に、古くから電気生理的手法が用いられてきた。この方法は一つの細胞から神経活動を記録することが可能であり、神経細胞の発火を正確に追うことができるという点で非常に優れている。しかし、多くの細胞種の活動を同時に記録するのは極めて難しく、長期にわたって同一の細胞の神経活動を記録することも難しいなどの限界があった。
 そこで私の所属する小坂田研究室では、大脳皮質における視覚情報処理経路を解析するために、多数の細胞種から同時に神経活動を記録することができ、かつ長期にわたった同一細胞の神経活動の測定を行うことのできる二光子顕微鏡を用いたカルシウムイメージングの系の確立を行ってきた。
 しかし、二光子顕微鏡を用いて神経活動を測定するためには、①マウスの頭骨をガラスに置換するcranial windowの作製、②二光子顕微鏡を用いた非侵襲的なイメージング手法、③数百の細胞から得られた3次元データの解析、などといった数多くの技術が要求される。
 そこで私はこれらの課題をクリアするために、研究室滞在支援制度を活用して、行動課題中のマウスから長期間にわたり二光子顕微鏡イメージングをされている東京大学大学院医学系研究科の松崎研究室に平成29年7月26日~27日の2日間滞在させていただいた。滞在期間中、松崎研究室の蝦名鉄平先生に御指導を頂いた。cranial windowの作製からカルシウムイメージングまでを一通り見学させていただき、実際に私が行ったカルシウムイメージングのデータについても解析方法を含めて御教授いただいた。滞在を通して現在の問題点も明らかになり、大変勉強になった。
 現在、当研究室で構築しつつあるカルシウムイメージングの系に、御教授を頂いた技術を導入し、改善を進めている。既にイメージングデータの向上が見られており、さらに改良と練習を繰り返すことで、一刻も早く覚醒下でのイメージングの実験系を完成させたい。今後は、当研究室で作製しているウイルスベクターや、行動実験とも結び付け、視覚情報処理経路の解明を行っていきたいと考えている。
最後に、ご多忙にも関わらず快く滞在を引き受けて下さいました松崎先生、直接御指導下さいました蝦名先生をはじめ研究室の皆様、さらに「適応回路シフト」領域代表の小林先生、研究支援委員会の礒村先生並びに領域の皆様に心より感謝申し上げます。



写真:左が恩田、右が蝦名先生。

投稿日:2018年04月09日