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平成28年度 「適応回路シフト」研究室滞在支援制度報告

派遣者:石田 章真  申請者:飛田 秀樹(公募班)
    (名古屋市立大学 大学院医学研究科 脳神経生理学分野)
滞在先:相澤 秀紀先生(計画班)
    (広島大学 医歯薬保健学研究院 神経生物学講座)

 脳血管障害後には上肢・下肢の運動麻痺が高率に認められますが、これらの障害はリハビリテーションにより軽減されうる事が知られています。リハビリテーションによる運動機能の回復に関しては、その作用機序の解明を目指し精力的な研究が続けられていますが、関連が深い因子としてモチベーションが挙げられます。モチベーションの有無とリハビリテーションの効果が関連する事は経験的に知られてきましたが、近年の基礎研究により中脳ドーパミン神経系が中心的な役割を果すことが明らかになってきました。
 我々の研究グループは以前より脳出血後の集中的リハビリテーション効果について検討を行ってきましたが、今後の更なる展開を鑑み、覚醒下動物でのドーパミン測定法を確立したいとの希望がありました。そこで、本滞在支援制度を活用させていただき、広島大学 医歯薬保健学研究院神経生物学講座を主宰されている、本領域計画班の相澤秀紀先生のもとに、平成28年4月18日から23日までの1週間滞在し、覚醒下マウスにおけるfast-scan cyclic voltammetry測定に関する基礎的手法を学ばせて頂きました。具体的には、埋め込み電極の作成およびキャリブレーション法、マウスへの電極埋め込み、行動テスト時のドーパミン測定等です。電極の作成法については、中野高志先生を中心に大変ご丁寧にご教授頂きました。初めての経験であった上に生来の不器用さから、なかなか成功させることが出来ませんでしたが、親切にご指導いただき習得することができました。マウスへの電極埋め込みおよびドーパミン測定に関しては、Cui Wanpeng先生の実験を見学させて頂きました。内容に関しても都度ご解説いただき、十分に理解することが出来ました。また、私からの質問にもご丁寧にご回答頂き、理解を深めることが出来ました。相澤先生にも研究方法やアンプの作成法など様々なご示唆を頂き、研究領域全体としての理解も深まったように感じます。
 今後、この支援制度で得た経験をもとに、私達の研究室でも新たなチャレンジを行っていきたいと考えています。相澤研で学ばせていただいた技術や研究アイデアは、私たちの今後の研究の展開において、大いに寄与するものであると存じます。新しい学術論文が発表できるように、精一杯努力する所存です。

 最後に、この度の滞在を快く引き受けてくださり、ご指導に時間を割いていただいた相澤先生、Cui先生、中野先生をはじめ広島大学 医歯薬保健学研究院神経生物学講座の皆様、本支援制度に携わっている先生方に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

投稿日:2016年06月06日