第2回福島災害医療セミナー(県内医療従事者コース)
- 実施要領
- セミナー報告
災害医療総合学習センターでは、「福島災害医療セミナー(被ばく医療コース)」で行っている講義・実習内容の中から、放射線健康リスク及びメンタルヘルスに関する項目に重点を置き、放射線不安を持つ福島県民への対応に活かすことができる人材の育成を目的とし、セミナーを開催しました。
実施日
平成27年9月19日(土)
場所
福島県立医科大学内
参加者
医師 | 2名(ときクリニック、福島県保健衛生協会) |
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看護職 | 3名(北福島医療センター、大熊町、会津医療センター) |
診療放射線技師 | 2名(田村市立都路診療所、桑野協立病院) |
理学療法士 | 1名(福島県立医科大学) |
鍼灸師 | 1名(会津医療センター) |
救急救命士 | 1名(福島市消防本部) |
消防士 | 1名(双葉地方広域市町村圏組合浪江消防署) |
医療ソーシャルワーカー | 1名(福島県立医科大学) |
事務職 | 1名(済生会福島総合病院) |
スケジュール
時間 | 形態 | 内容 | 担当 |
---|---|---|---|
09:00~09:50 | 講義 | 放射線の基礎1 | 熊谷 敦史 |
10:05~11:05 | 講義 | 放射線の基礎2 | 熊谷 敦史 |
11:20~12:10 | 講義 | 県民健康管理調査の概要 | 大平 哲也 |
13:00~14:00 | 実習 | 放射線測定 | 安井 清孝 ・ 吉田 浩二 ・ 熊谷 敦史 |
14:10~15:00 | 講義 | 放射線の基礎3 | 熊谷 敦史 |
15:15~16:05 | 講義 | 避難者の生活とメンタルヘルス | 髙橋 紀子 |
16:20~17:40 | 討論 | リスク・コミュニケーション | 熊谷 敦史 |
セミナーの様子
《講義》 放射線の基礎1・2・3
講師:熊谷 敦史

原爆被爆者やチェルノブイリ事故から得られた放射線の健康影響に関する知見の概説、さらに福島の現状(住民の被ばく量や環境や食品の汚染状況)に関するデータの紹介と解説を含め、福島における健康リスクを考察する。
感想等(抜粋)
放射線の基礎的なことは一通り知識として本や新聞、ネット等で学んではいたものの、捉え方等、視点を変えて被ばくについて見直すことも大切だと感じました。
《講義》 県民健康管理調査の概要
講師:熊谷 敦史

福島で実施されている県民健康調査について、健康診査を中心に概説した。福島の現在の健康問題として、生活習慣病の著しい悪化が見られることのデータを元に紹介し、今後の福島における健康増進の在り方について議論する。
感想等(抜粋)
放射線だけではなく避難による社会的要因が生活習慣病のリスクを高めていくことが具体的にわかりました。うつ病が脳梗塞、心疾患、癌の発生率を高める一因であり、震災によるストレスが起因してくることが、よく理解できました。
《実習》 放射線測定
講師:安井 清孝・吉田 浩二・熊谷 敦史
実際に各種放射線測定機器により、マントル線源を用いた測定実験を行うとともに距離・時間・遮蔽の効果を確認する。


感想等(抜粋)
遮へいや距離を保つことによる防護の実際を体験できました。目にみえないものなので実感しにくいのが難しい。測定器や目的の使い分けが必要だということをはじめて知りました。
《講義》 避難者の生活とメンタルヘルス
講師:髙橋 紀子(災害こころの医学講座)

実際に被災した臨床心理士により、福島における避難の特徴と、避難者の心理学的知見について紹介し、放射線災害時の心理的支援の在り方について考える。
感想等(抜粋)
避難者の方々の支援を実践していらっしゃる方からの声を聞くことは、説得力があると感じました。グループに分かれて話し合いの時間も取って頂いたことでより多くの実体験された方々の声や意見を聞くことができ有意義でした。
《講義・討論》 リスク・コミュニケーション
講師:熊谷 敦史

福島における住民に対する震災及び放射線健康リスクにいかに対応するか、医療者の視点から、参加者によるグループ討論にあわせて、よろず健康相談などの経験を元に、今後のあるべき姿を考える。
感想等(抜粋)
放射線不安に関して、不安を表に出することがタブーとされている現在、私たちは一緒に考えていく関わりをもつことが必要だとわかりました。不安を訴えない=不安がないのではないことをふまえ住民の健康を維持できるよう関わりたいと思います。