第1回福島災害医療セミナー(県内医療従事者コース)
- 実施要領
- セミナー報告
災害医療総合学習センターでは、「福島災害医療セミナー(被ばく医療コース)」で行っている講義・実習内容の中から、放射線健康リスク及びメンタルヘルスに関する項目に重点を置き、放射線不安を持つ福島県民への対応に活かすことができる人材の育成を目的とし、セミナーを開催しました。
実施日
平成27年7月11日(土)
場所
福島県立医科大学内
参加者
医師 | 5名(石田医院、石井クリニック、呉羽総合病院、福島県立医科大学 2名) |
---|---|
看護職 | 12名(星ヶ丘病院、楢葉町、済生会福島総合病院、二本松市、福島県看護協会、総合南東北病院、太田西ノ内病院、双葉町 3名、広野町、済生会川俣病院) |
診療放射線技師 | 1名(あづま脳神経外科病院) |
臨床検査技師 | 2名(福島県立医科大学 2名) |
薬剤師 | 2名(コスモファーマ、福島県立医科大学附属病院) |
社会福祉士 | 1名(福島県立医科大学) |
事務職 | 4名((公財)原子力安全研究協会、広野町、福島県立医科大学 2名) |
スケジュール
時間 | 形態 | 内容 | 担当 |
---|---|---|---|
09:00~09:55 | 講義 | 放射線の基礎1 | 熊谷 敦史 |
10:10~11:10 | 講義 | 放射線の基礎2 | 熊谷 敦史 |
11:20~12:25 | 講義 | 県民健康管理調査の概要 | 橋本 重厚 |
13:15~14:00 | 実習 | 放射線測定 | 安井 清孝 ・ 吉田 浩二 |
14:10~15:00 | 講義 | 放射線の基礎3 | 熊谷 敦史 |
15:15~16:05 | 講義 | 避難者の生活とメンタルヘルス | 松本 貴智 |
16:20~17:40 | 討論 | リスク・コミュニケーション | 熊谷 敦史 |
セミナーの様子
《講義》 放射線の基礎1・2・3
講師 : 熊谷 敦史

原爆被爆者やチェルノブイリ事故から得られた放射線の健康影響に関する知見の概説、さらに福島の現状(住民の被ばく量や環境や食品の汚染状況)に関するデータの紹介と解説を含め、福島における健康リスクを考察する。
感想等(抜粋)
甲状腺、ヨウ素の不安定さ、半減期の考え方と身体影響について、とても理解しやすかったです。自分たちのことに置き換えて考えることがしやすくなりました。質問があったときに対応しやすくなると思いました。
《講義》 県民健康管理調査の概要
講師:橋本 重厚(放射線医学県民健康管理センター)

福島で実施されている県民健康調査について、健康診査を中心に概説した。福島の現在の健康問題として、生活習慣病の著しい悪化が見られることのデータを元に紹介し、今後の福島における健康増進の在り方について議論する。
感想等(抜粋)
生活習慣病がもともと福島では大きな問題であったことを知りませんでした。自分の専門分野以外は驚くほど分かっていないことに衝撃を受けました(自分の知識の少なさに)。食生活、運動の重要さを改めて教えていただけて良かったです。
《実習》 放射線測定
講師:安井 清孝・吉田 浩二
実際に各種放射線測定機器により、マントル線源を用いた測定実験を行うとともに距離・時間・遮蔽の効果を確認する。


感想等(抜粋)
1 日コースなので仕方がないけれど、ガラスバッジや食品の検査も、もっと詳しく知りたかった。自分たちで測定できたのは良かった。
《講義》 避難者の生活とメンタルヘルス
講師:松本 貴智(神経精神医学講座)

実際に被災した臨床心理士により、福島における避難の特徴と、避難者の心理学的知見について紹介し、放射線災害時の心理的支援の在り方について考える。
感想等(抜粋)
実際避難をされた立場からの心理面など、私の知らなかった部分を知り、今後避難してきている患者さんと話しをするときなどの参考となり、とても勉強になりました。また、他職種との顔の見える関係性が非常時に大きく役立つことが分かりました。
《講義・討論》 リスク・コミュニケーション
講師:熊谷 敦史

福島における住民に対する震災及び放射線健康リスクにいかに対応するか、医療者の視点から、参加者によるグループ討論にあわせて、よろず健康相談などの経験を元に、今後のあるべき姿を考える。
感想等(抜粋)
正直、自分が国の職員として何ができるのか、日々必死で、日々悩んでいます。国の対応が腹立たしいことも多いし、迷うこと、どうしようもできない思いもたくさんあります。今日はたくさんの考え方を学びました。私は国と町のつなぎ役として、たくさんの人と対話して、教えてもらいながら、ひとつでも多くのことで役に立てるよう、ひたすら頑張ろうと思いました。