研究・教育活動

研究活動

当講座では、人の健康や、生活の質を向上させるため、生活習慣や環境と健康の関わりについて研究しています。生活習慣や環境の変化など、多様化する社会のニーズに対応するため、疫学、実験、質的研究など、様々な手法を用いた研究を行います。

フィールドワーク、国内外の施設、機関との共同研究により、地域、職域に根ざした研究を行う他、講座内には多くの実験機器が整備されており、様々な実験を行っています。

研究テーマ

以下は簡易な説明ですが、個別の研究項目ごとの詳細や、実際の研究業績のご案内を記載したページもございます。ぜひご覧ください。

1. 地域保健・医療・福祉
A) 健康診査・保健指導と受療行動・医療費に関する研究
B) 高齢者の日常生活動作、及び健康寿命に関する研究
C) 地域における難病患者/障害者/高齢者のQOL(quality of life)に関する研究
2. 産業保健
A) 不規則労働の身体的、精神的健康に与える影響とその対策に関する研究
B) 震災復興労働者の健康状態に影響を与える要因の解明
C) 労働者における食生活と肥満を含む健康問題との関連
3. 環境保健
A) 空間放射線測定とその長期経過の予測に関する研究
B) 熱中症の予防と実践に関する研究
C) 中毒/トキシコロジー
4. 予防医学の理論・実践
A) 生活習慣に関わるバイオマーカーの探索
B) 神経細胞の老化(パーキンソン病など)に影響をおよぼす生活要因に関する研究
C) 生活習慣病の発症・進展メカニズムの解明
5. 医学教育・行動科学
A) コラボレーションを通じて学ぶ参加型・問題解決型医学教育手法の開発、模擬患者のリアリティと医学教育への市民参加の意義に関する研究
B) 現場の生活実態と当事者の主観的意味付けを理解するための質的(事例)研究法の整備
C) 青年期の行動選択に影響する要因の行動科学的検討
D) 社会問題に対する行動科学・社会科学アプローチ

所有設備・機器、共通利用機器

共通利用機器(当講座に設置→利用相談はGoogleフォームにて承ります。)

高分解能精密質量分析計システム(Orbitrap Exploris240 + Vanquish Neo + Vanquish Flex + Proteome Discoverer + Compound Discoverer) ※下記の画像をクリックすると大きい写真が表示されます。

共通利用機器

実験室

人工気候室、防音室、低温実験室、細胞培養室、生化学実験室

実験設備・機器

以下をご確認ください。なお、リンクがついているものは、写真や解説が付記されています。

生体計測関連機器
身長計、精密体重計、体脂肪計、皮下脂肪厚計、マルチン式人体計測器 他
生理測定関連機器
携帯型脳波計、呼吸代謝測定装置、レーザードップラー血流計、連続血圧計(トノメトリ式)、自動血圧計、サーミスタ体温計、サーモグラフ、超音波画像診断装置(ドップラー無、腹部用・体表用・心臓用プローブ、画像保存装置)他
生化学測定関連機器
高速液体クロマトグラフィーガスクロマトグラフィー、吸光度計、紫外吸光光度計、蛍光光度計、遠心機、超遠心機、純水製造装置、マイクロプレートリーダー他
細胞培養室
小型卓上クリーンベンチ、炭酸ガスインキュベーター、恒温槽、ポンプアスピレーター、電動ピペット、マイクロピペット各種、液体窒素保存コンテナ、冷凍庫(−40℃)遠心機各種、位相差生物顕微鏡、簡易型デジタル画像取得装置他
その他
自転車エルゴメーター、ティルティングベッド、折りたたみ式ベッド、アイマスク、白杖、重心動揺計、フリッカー計、動体視力計、握力計、振動感覚計、オージオメータ、爪圧迫検査装置、痛覚計、肺活量計、二点識別閾値検査器、頭部曝露吸入装置(マウス用)ミクロトーム、包埋センター他

教育活動

学生教育は、3年次に、衛生学・予防医学として、 講義を行っています。 具体的には、「予防医学入門」、「医療統計学」、「環境医学」、「産業医学」、「予防医学の実践論」について講義を行っています。

また、3年次には、公衆衛生学講座および疫学講座と協力して地域における実習を行っています。実習では、環境医学実習・産業医学実習・予防医学実習を実施します。「生を衛るための学問」である衛生学が扱う人生や生命、生活など人の様々な「生」側面に対する社会医学的なアプローチを学びます。

4年次に実施される基礎上級では、衛生学・予防医学的課題について、具体的な実験および調査を計画および実施し、その結果について文献による考察も交えながら議論を行っています。

社会的には、毎年夏季または冬季に社会医学に関する最近のテ−マ数題を定め、市民ならびに、保健・医療・福祉関係者を対象として 一般公開の「衛生学・予防医学講演会」を行っています。講演会に関する詳細は講演会のページをご覧下さい。また、その他に、 医療協力として職場の健康教育や、産業・環境・食品衛生等に関する講演、講師等を勤めています。

講義

講義は「社会医学コース」の「衛生学・予防医学ユニット」を担当し、第3学年の前期に行っている。

学生への一方的な知識の伝達ではなく、学生参加型の講義を目指し、講義の手法やプレゼンテーション法などを工夫して講義を行っている。

内容は「予防医学入門」、「医療統計学」、「環境医学」、「産業医学」、「予防医学の実践論」について講義を行っている。

衛生学・公衆衛生学・疫学実習

2024年度

実習では、「衛生学・公衆衛生学・疫学実習ユニット」のうち、衛生学・予防医学講座担当として環境医学実習・産業医学実習・予防医学実習を実施する。

GIO
環境医学実習では人々がどのような生活環境に囲まれており、生命(心身の健康)がどう影響を受けているのかについて学び、その実態を調査する。そして生命を囲む環境の問題点や改善点に着目し、よりよい環境を形成するためにはどのような社会医学的貢献が可能なのか検討する。産業医学実習では、労働衛生三管理(作業環境管理、作業管理、健康管理)について、職場巡視、ストレスチェックをテーマとした実践形式での学習を行い、労働と健康の関連、労働者の健康確保のあり方について系統的に理解する。労働現場における様々な課題について、個人学習、グループ討論により課題の解決法を探り、生活を支えると同時に生活の一部でもある労働(社会的・行動的側面での健康)の中で人の健康を衛る方法を学ぶ。また、これらの基盤を成す予防医学の視点について、体験型・訪問型の実習を通じ、学ぶ。病い、障がいの当事者の語りを聴くこと、ならびに関連する支援団体、専門機関での学習を通じ、人々の人生(時間とともに変容していく生活課題・健康課題)を支えるための方法を理解する。これにより、環境医学(生命)、産業医学(生活)の内容を統合、接続する予防医学の視点を醸成する。
SBO(環境医学実習)
1)日常的な生活場面に存在する環境的な健康関連要因について具体的に例示できる
2)環境的な健康関連要因を測定する方法について理解し、実践できる
3)積極的に討論に参加し、学習課題を言語化できる
4)自らの学習内容を整理し、論理的に報告できる
SBO(産業医学実習)
1)産業医の職務について、実践的な観点から概説することができる
2)労働衛生三管理(作業環境管理・作業管理・健康管理)について実際の活動も含め理解し説明できる
3)関連法令や規則について理解し、事業場の法令順守のために助言することができる
4)産業医が行う職場巡視を、事業場の安全衛生の向上のために活用するためのポイントを説明できる
5)労働者の心のケアについて、ストレスチェックの集団分析より労働環境のアセスメントを行い、改善策を立案できる
SBO(予防医学実習)
1)訪問先・話題提供者に対し社会人としてのマナーを持ち、正しい身なり・言葉遣いで接することができる
2)訪問先・話題提供者との協力関係を、将来医療に携わる者の立場から、構築することができる
3)訪問先・話題提供者のプライバシーに配慮できる
4)医療人となるべき者として自分の役割と義務、権利を理解できる
5)訪問先・話題提供者から得た情報(問題点、背景、優先度)を理解し、自らの言葉で整理できる
6)訪問先・話題提供者の生活環境や社会的な背景に、積極的で具体的な関心を示し、主体的に学習することができる

2023年度まで

実習では、「衛生学・公衆衛生学・疫学実習ユニット」のうち、衛生学・予防医学講座担当として家庭健康管理テュートリアルを実施している。

GIO
実際の家庭に赴き、健康問題がクライアント及びその家族の生活にどのような影響を及ぼしているのか、また逆に、生活がどのように健康問題を生じさせる背景要因となっているのかを、疾病の有無、病因、受診状況から捉えるだけでなく、家族の構造面、発達面、機能面、情緒面などの観点から総合的に把握する。クライアントの抱える健康問題を生活者の視点と将来医療に携わる医学生の視点の両面から把握し、解決策・支援の方法を学習する。
SBO
1)クライアントとの協力関係を、将来医療に携わる者の立場から構築する
2)クライアントの生活環境や社会的な背景に、積極的で具体的な関心を示し、主体的に学習することができる
3)クライアントから得た情報(問題点、背景、優先度)を理解し、自らの言葉で整理できる
4)クライアントの治療や援助に必要な家庭的/社会的な背景を具体的に引き出せる
5)クライアントから得た問題点の解決に向けて、多角的に情報収集、考察を行い、具体的な解決策・支援の方法を提示できる
6)クライアントに対し社会人としてのマナーを持ち、正しい身なり・言葉遣いで接することができる
7)クライアントのプライバシーに配慮できる
8)医療人となるべき者として自分の役割と義務、権利を理解できる
9)積極的に討論に参加し、学習課題を見いだせる
10)自らの学習内容を整理し、論理的に報告できる