県民の健康維持、増進のために

03災害こころの医学講座・
被災者に対するメンタルヘルスケア

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浜通りで行われた住民向けセミナーの様子

私たちの講座は、本学の神経精神医学講座や放射線医学県民健康管理センターとともに東日本大震災被災者へのメンタルヘルス支援を積極的に進めてまいりました。今般災害の最大の特徴は、福島第一原発事故によって大量の被災者が長期間にわたって避難生活を送らざるを得なかったことです。しかも津波被害とは異なり、震災後10年目を迎える現在でも約3万人の県外避難者がいることに象徴されるように、多くの被災者が遠方への避難生活を余儀なくされました。

そうした人々への支援の方策については、大きく3つの枠組みで行われました。第一は県民健康調査に基づく被災住民への支援、第二は既存の被災市町村や関係団体への支援、第三はふくしま心のケアセンターなど災害後に生まれた新しい支援組織への支援、この三つです。

県民健康調査は、被災住民の様々な心身の問題に対して長期にわたって見守るという立場から、震災後からずっと続けられている、包括的な調査および支援です。その一つがメンタルヘルスおよび生活習慣に関する調査・ケア(「こころの健康度・生活習慣に関する調査))であり、これは毎年約21万人の被災者に対して質問紙を郵送し、その返信から必要な支援を提供するといったアプローチです。具体的には、心身の問題を抱えているであろうと考えられた被災者に対しては、なるべく早く電話をかけ、お話を傾聴したり必要に応じて助言したりしました。この9年間で延べ3万人を超える方々にこうした電話支援を行ったことになります。また本調査から得られたデータを詳しく解析し、得られた健康情報について支援関係者などに伝えることによって様々な保健施策にも活かされています。これだけの規模で長期間にわたってこうした調査・ケアを行うことは、災害の多い本邦とはいえまったく前例のないことでした。

また今般の災害、とくに原発災害は、被災市町村や関係団体にきわめて深刻で長期的な影響をもたらしてしまいました。とりわけ被災市町村職員は、先行きが見えづらい復興過程のなかで疲弊し、バーンアウトしてしまう人も少なくありませんでした。講座としてはこうした方々の支援、すなわち支援者支援は非常に重要な課題と考え、現在まで調査や研修を通じて支援を行ってきました。

また、心のケアセンターのように震災後に生まれた新しい支援組織に対しても、とくに人材育成に力点をおいて支援を続けてきました。福島県ではもともと専門医や臨床心理士やソーシャルワーカーなどが非常に少ないところに、数多くの被災者からのニーズが急増してしまいました。これに対応するための様々な組織と連携をとりつつ、長期に支援できる体制を維持すること、とくに支援に必要な人材を育てることがもっとも重要な課題と考えて現在も活動しています。皆様のご理解とご協力を頂ければ幸甚です。

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