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職員表彰式(永年勤続表彰)理事長式辞 (令和4年11月22日)

2022年 職員表彰式の様子1 2022年 職員表彰式の様子2 2022年 職員表彰式の様子3

ただ今、永年勤続表彰を受賞されました皆様におかれましては、本学において長きにわたり業務に精励し、本学と附属病院の発展に多大な貢献をされましたことに厚く御礼申し上げます。
 そして、近年続く新型コロナウイルス感染症がさらに猛威を振るう中、一時、医療もひっ迫したことから、より一層の緊張を強いられたことと思います。そのような中、皆様がこれまでに培った経験を活かし、他の職員の先頭に立って対応にあたってくださいましたことに、心より感謝申し上げます。

国内におけるコロナ禍もすでに3年が経とうとしています。その間に蓄積してきた経験が次の対応への礎になっていることを、皆さんは、身を持って感じておられていると思います。私は常々「前例踏襲では変化に対応できない」と言い続けてきました。今回のように過去のコロナ対応の経験が役に立つということと、これは矛盾しているように聞こえるかもしれません。しかし、「前例踏襲」と「経験に基づく判断や行動」とは全く違うものです。この機会にこのことを明確に自覚し、後進の皆さんに、いかにこの経験を伝えていくかを考えていただきたいと思います。

前例踏襲とは、その前例となる事例を自らが経験したとは限りません。ですから、行動や判断に至るプロセスを知らず、あるいは理解していないことが多いのです。その結果、対応すべき事柄が前例とよく似てさえいれば、それを取り巻く環境や価値が変化していることには目もくれず、妄信的に他人の過去の行動や判断を表面だけ真似するのです。
 経験に基づくとは、文字通り過去に経験してきたことを基に、自らの判断や行動の対象や目的を洗い出し、さらには過去の試行錯誤のプロセスを考えることです。そうすることで、その時置かれた状況の変化にしなやかに対応し、最適と思われる結論を導くことが出来るのです。
 誤解を恐れず言えば、前例踏襲が思考停止的であるのに対し、経験に基づく判断と行動は、常に能動的思考に支えられていると言っても過言ではありません。そして、これはコロナ対応に限らず、どのような業務にも共通することですが、思考の量は、必ず仕事の質に比例するものなのです。

本学はいよいよこれから、福島国際研究教育機構の立ち上げに向けて、その活動を本格化させてまいります。これは、福島県の復興の完成とかゴールといった単純なプロジェクトとして位置づけられるものではありません。前代未聞の複合災害からの復興の過程で得られた経験と知見を体系化し、普遍化し、人類全体の共有知としようとするスタートなのです。福島県は10年以上にわたり、数えきれないほどの犠牲や代償を払ってきました。絶望的ともいえる環境の中で、愚直に、くじけることなく取り組んできたあらゆる復興への努力と知見、経験を、いよいよ希望や夢に変えて将来世代に残していく段階に来たのです。そこには、前例踏襲などできる余地は全くありません。復興の過程を実地に経験してきた皆さんには、一人一人がしなやかに考え、果断に行動することを期待します。

結びに、皆様の本日の受賞に対し重ねてお祝い申し上げるとともに、今後も健康に留意され、今後ますますの本学での御活躍を祈念し、挨拶といたします。

令和4年11月22日
公立大学法人福島県立医科大学
理事長 竹之下 誠一

事務担当 : 総務課(大学人事係)

電話 (024) 547-1111(代)
FAX (024) 547−1995
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