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平成29年度 福島県立医科大学入学式 学長式辞 (平成29年4月5日)

   

本日ここに、福島県知事様、福島県議会議長様のご臨席と保護者の皆様のご列席のもと、平成29年度福島立医科大学入学式を挙行できますことは、本学にとってこの上ない慶びであります。
ただいま入学を許可された医学部130名、看護学部84名、大学院医学研究科51名、看護学研究科10名の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。

君たちは、医学・看護を中心に医療のプロフェッショナルになるという高い志(こころざし)を実現するために、この福島県立医科大学を選び、今日、ここに集いました。
君たちの志は150年前、他県に先駆け近代西洋医学の導入を目指し、この地に本学の前身である須賀川医学校を設立した先人たちの「崇高なる志」を受け継ぐものです。
ご存知のように、2011年(平成23年)の東日本大震災、原発事故以降、本学は、他の医学部や医科大学の使命である「教育」「研究」「診療」に加え、新たな歴史的使命を負うことになりました。それは将来にわたり継続して県民の健康を見守ること、そして、この災害とその対応のすべてを記録し、学び、次の世代へ伝えていくことです。
すなわち、本学は、不安を抱える県民・国民を支え、この災害と惨禍に対して最前線に立ち続けることを運命づけられた大学と言えるでしょう。

今、私たちが直面しているこの試練は、「過去に例がない」とよく表現されます。しかし、福島の地は過去にも未曽有(みぞう)の災害や惨禍を不屈の精神で乗り越えてきた歴史があります。

さきほども述べましたが、戊辰戦争の戦火の中、傷ついた兵士の治療にあたった医療者たちが、国内でもいち早く、この地に西洋近代医学を導入しました。当時の医術教育機関であった須賀川医学校が本学の前身となったのです。そして、そこで学んだ第1期生のなかには、関東大震災後、壊滅した街の復興を推(お)し進め、現在の東京の礎(いしずえ)を作った復興院総裁 後藤新平(ごとう・しんぺい)がいます。
さらに1888年(明治21年)の磐梯山大噴火という自然災害に対しても、創立当時の日本赤十字社、いわゆる日赤と福島の医療者は、協同で敢然と復興に立ち向かいました。
本学の先達(せんだつ)は、壮絶な歴史の中で、当時の先端医療を駆使し、災害救護にあたり、街の復興に力を尽くしてきた経験を持っていました。激動の世相の中でも医療の充実と発展に貢献し、優れた医療人の育成、医学の進歩・発展に努めてきたのです。

このように福島と本学の歴史を振り返るとき、本学の先達が目の前の状況を的確に把握し、いかなる過酷な状況に対しても決して折れることのない「しなやかさ」をもって対応していたことが分かります。そうすることで医療者としての知識を得、思考を深めると同時に、人間としての幅を広げていったのです。
そして、このことこそ、私たち福島県立医科大学が、世界に誇れる先達から受け継がれてきたDNA、すなわち「resilience(レジリエンス)」(※)です。困難な状況にしなやかに適応して未来を切り開く力です。
  (※ resilience…「困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生き延びる力」)

レジリエンスの根幹は「しなやかさ」です。
これから皆さんは、この学び舎(まなびや)で、それぞれの分野でプロフェッショナルになるための厳しい修業に入ります。君たちを温かく指導してくれる先輩から常に言われる言葉があります。それは、「修行とは矛盾に耐えること」です。そして、医療は、まさにその最前線です。
皆さんが医療の現場で向かい合う相手は、その方になんの落ち度もないのに、病(やまい)に苦悩している人たちばかりです。我々医療者は当然、全力を尽くして診療にあたります。しかし、病める方々は、直接の担当者である我々に、様々な不平・不満をぶつけてきます。なぜなら我々しかいないのです。
理不尽に感じるかもしれませんが、これが現実です。この不条理と矛盾に満ちている現場において、知識や技術の習得は、医療者の最低限の条件でしかありません。人を思いやる心に満ち、かつ信頼されるだけの良識や人間的な力が必須となります。
この不条理と矛盾に満ちている医療の現場でプロを目指す皆さんは、何度も失敗や挫折を経験するでしょう。しかし、精神科医の齋藤茂太(さいとう・しげた)先生曰く「人生に失敗がなければ、人生を失敗します」。これらの試練を、鍛錬の機会ととらえ、本学のDNAである不屈のレジリエンスの精神で、しなやかに対応してください。

先月、震災直後に、本学に入学してきた110名以上の方が卒業しました。
すなわち、震災後満6年が経過したのです。
この間、県や国の支援の下(もと)、本学には多くの施設や優秀な人材が集う組織が整えられました。震災前の教職員は約1,900名でしたが、現在3,000名を超えました。誰もが高い志を抱いて、この復興の最前線の医大へ結集しました。これは、本学が様々な面において、「可能性の塊」となったといっても過言ではありません。整備されたこれらの施設や組織を駆使し、最大の成果をあげることを目標とし、我々は、新たな未来の開拓に、不屈の精神でチャレンジする次のステージに入ります。

皆さんも、志をもって福島へ集まっていただきました。医大の誇るレジリエンスを武器に、その志を実現してください。君たちは我々の希望です。夢や希望を実現しその実績を持って、県や国はもとより、世界でも活躍してください。
これが、「福島県立医科大学で学ぶ者、一人ひとりの使命と心得ること」を伝え、入学式式辞と致します。 諸君の健闘を祈ります。

 

平成29年 4月 5日
福島県立医科大学 学長  竹之下 誠一

 

※ 個人情報保護のため、式典会場の写真を画像加工しています

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