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平成30年度 大学院医学研究科入学式 学長式辞 (平成30年10月1日)

平成30年度大学院医学研究科入学式 平成30年度大学院医学研究科入学式 平成30年度大学院医学研究科入学式

本日ここに、福島立医科大学医学研究科入学式を挙行できますことは、本学にとってこの上ない慶びであります。
 ただいま入学を許可された大学院医学研究科23名の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。

君たちは、医学の道をさらに深め、高みを目指すという志を実現するために、今日、ここに集いました。
 そこで、入学に当たりすべての皆さんに、考えていただきたいことがあります。それは、福島で医学を学ぶことの意味です。ご存じのとおり、2011年の東日本大震災、原発事故以降「福島」は、良きにつけ悪しきにつけ、世界中に知られるようになりました。その福島で医学のプロフェッショナルを目指す皆さんは、これからあらゆる場面で、福島で起きたこと、その影響、未来など様々なことを、いやおうなしに質問され、意見が求められます。なぜなら、本学は福島県民の健康を長期にわたり見守ることを使命とした大学だからです。そして、その大学で医学を学ぶ、ということは、誰よりも福島の医療の現状を把握していると思われているからです。
 本学はこの7年半にわたり、真摯に県民と向き合い、被災者の皆さんを支え、復興を最前線で支えて来たという自負があります。その本学に入学し医学を学ぶということは、今日、この日から、震災、原発事故からの復興の「当事者」となるということです。当事者になる、とはその時その場にいることを指しているのではありません。
それは、震災、原発事故と自分自身との間に接点を見出し、考え、行動することです。そして、ここで起きたこと、起きていることを当事者として自分の言葉で語れるようになることです。自分は知らない、関係ない、という姿勢は許されないことを、入学に際し肝に銘じてください。本学は、不安を抱える県民・国民を支え、この災害と惨禍に対して最前線に立ち続けることを運命づけられた大学であり、私たちは多くの犠牲となった方々の上に、今を生き、新たな学びの場を与えられていることを忘れないでください。

さて、今、私たちが直面しているこの試練は、「過去に例がない」とよく表現されます。しかし、福島の地は過去にも未曽有の災害や惨禍を不屈の精神で乗り越えてきた歴史があります。150年前の戊辰戦争の戦火の中、傷ついた兵士の治療に当たった医療者たちが、国内でもいち早く、この地に西洋近代医学を導入しました。本学の前身となった須賀川医学校で学んだ先輩のなかには、関東大震災後、壊滅した街の復興を推し進め、現在の東京の礎を作った復興院総裁 後藤新平をはじめ多くのすぐれた医療人を輩出してきました。
さらに1888年(明治21年)の磐梯山大噴火という自然災害に対しても、創立当時の日本赤十字社いわゆる日赤と福島の医療者は協同で敢然と災害医療に取り組みました。
 本学の先達は、壮絶な歴史の中で、当時の先端医療を駆使し、災害救護に当たり、街の復興に力を尽くしてきた経験を持っていました。激動の世相の中でも医療の充実と発展に貢献し、優れた医療人の育成、医学の進歩・発展に努めてきたのです。

このように福島と本学の歴史を振り返るとき、本学の先達が目の前の状況を的確に把握し、いかなる過酷な状況に対しても決して折れることのない「しなやかさ」をもって対応していたことが分かります。そうすることで医療者としての知識を得、思考を深めると同時に、人間としての幅を広げていったのです。困難な状況にしなやかに適応して未来を切り開く力。すなわちレジリエンスこそ私たち福島県立医科大学が、世界に誇れる先達から受け継がれてきたDNAなのです。
 ※レジリエンス(「困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生き延びる力」)
レジリエンスの根幹は「しなやかさ」です。これから皆さんは、この学び舎で、それぞれの分野の道を極めるための厳しい修業に入ります。その過程で、皆さんは、何度も失敗や挫折を経験するでしょう。しかし、精神科医の齋藤茂太先生曰く、「人生に失敗がなければ、人生を失敗します」。これらの試練を、鍛錬の機会ととらえ、本学のDNAである不屈のレジリエンスの精神で、しなやかに対応してください。

この医大の誇るしなやかなレジリエンスを武器に、みなさんの志を実現してください。皆さんは福島復興の希望です。夢や希望を実現しその実績を持って、県や国はもとより、世界でも活躍してください。これが、「福島県立医科大学で学ぶ者、ひとりひとりの使命と心得ること」であると皆さんに伝え式辞といたします。
諸君の健闘を祈ります。

平成30年 10月 1日
福島県立医科大学 学長
竹之下 誠一

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