災害リハビリテーションと地域の健康づくりを学び、継続的な国際協働へ
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が実施する「さくらサイエンスプログラム」の一環として、モンゴル国立医科大学(MNUMS)の教員・学生を本学に迎えた交流プログラムが、9月3日(木)に全日程を終了しました。
第1弾のモンゴル訪問、第2弾の鏡石町での高齢者生活機能調査の見学や本学保健科学部での講義・実習に続き、今回は8月31日(月)から9月2日(水)までの研修と閉講式の様子を紹介します。
8月31日(月):被災地視察と災害リハビリテーションの学び
一行は、双葉町の「東日本大震災・原子力災害伝承館」などを訪問しました。地震・津波・原子力災害の記録や復興の歩みに触れ、災害が地域住民の暮らしや健康に及ぼす長期的な影響について理解を深めました。
午後には、南相馬市立総合病院リハビリテーション技術科の小野田修一技師長による災害リハビリテーションの講義とワークショップを行いました。本学学生も参加したグループワークでは、被災直後から復興期までのリハビリテーション専門職の役割や、避難生活で身体を動かす機会が減ることによる心身の機能低下(生活不活発病)の予防について意見を交わしました。
写真左 災害時のリハビリテーションについて、小野田技師長から説明を受ける参加者
写真右 南相馬市立総合病院屋上で、津波が押し寄せて来た方向を見つめる参加者
9月1日(火):附属病院の見学とパラスポーツ体験
午前中は、本学附属病院の医療設備やリハビリテーション関連施設を見学し、診療を支える環境や取り組みについて学びました。
午後は、本学体育館でパラスポーツの見学・体験を行いました。車いすバスケットボール体験は、公益財団法人福島県障がい者スポーツ協会の事業として、福島県車椅子バスケットボール連盟から講師を派遣いただき実施しました。
参加者は、実際に身体を動かしながら、障害の有無にかかわらずスポーツに親しむための工夫や支援について学び、スポーツを通じた交流を深めました。
車いすバスケットボール、ボッチャを体験し、スポーツ参加を支える工夫を学ぶ参加者
9月2日(水):平野中学校での健康調査見学と閉講式
研修最終日は、福島市立平野中学校で実施された、睡眠・食習慣・足の健康に着目する「眠育・食育・足育」の健康調査を見学しました。
本学での研修は9月2日(水)に終了し、一行は9月3日(木)に全日程を終えました。
本調査は、本学保健科学部理学療法学科の楠本泰士准教授を中心とする研究チームが、平野小・中学校と連携して取り組んでいるものです。子どもたちの健康状態や生活習慣を継続的に把握するコホート調査として、足指の筋力(足趾把持力)や体組成の測定、歩行姿勢の撮影、睡眠・食習慣に関するアンケートなどを行っています。
モンゴルでは、0~14歳の子どもが総人口の約3割を占めています(2024年)。
出典:JICA「モンゴルNGOハンドブック」
こうした人口構成を踏まえると、学校と連携して子どもの健康状態や生活習慣を把握し、成長に応じた健康支援につなげる取り組みは、同国においても意義があると考えられます。平野小・中学校での継続的な健康調査は、モンゴルの学校や地域の実情に合った健康づくりを考えるうえでも参考となることが期待されます。
一行は測定の様子を見学し、大学と学校が連携して子どもの成長と健康を支える取り組みについて学びました。この調査は、読売新聞、福島民報、福島民友でも紹介されました。
平野中学校で健康調査を見学し、子どもの成長と健康を支える取り組みを学ぶ参加者
午後には、本学保健科学部で閉講式と意見交換会を行い、参加者に修了証を授与しました。参加した教員・学生からは、研修への感謝とともに、今回の学びを帰国後の学修や研究、臨床活動に生かしたいとの意欲が示されました。
全日程を終え、閉講式で振り返りの発表を行う参加者
今後の交流に向けて
8月のモンゴル訪問から今回の福島での研修まで、両大学の教員・学生は、高齢者の生活機能評価、災害リハビリテーション、パラスポーツ、子どもの健康調査など、幅広い分野で学びを共有しました。それぞれの地域の実践に触れ、対話を重ねることで、地域の人々の健康を支える専門職の役割をともに考える機会となりました。
本学は、今回の交流で深まった関係を基盤に、モンゴル国立医科大学との教育・研究協力や学生交流を継続し、子どもから高齢者まで、両国の人々の健康を支える人材の育成と共同研究の発展につなげてまいります。
関連記事