福島県医科大学放射線災害医療センター

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お知らせ

【 論文・著書 】

放射線災害医療センター関連論文のご紹介

2016.12.15

放射線災害医療センターの構成員が主著者として専門誌に掲載された論文についてご紹介いたします。

【タイトル】
Individual external dose monitoring of all citizens of Date City by passive dosimeter 5 to 51 months after the Fukushima NPP accident (series): 1. Comparison of individual dose with ambient dose rate monitored by aircraft surveys

【筆頭著者、連絡・責任著者】
福島県立医科大学放射線健康管理学講座 宮崎真(代表)
【共同著者、連絡著者】
東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 早野龍五

【掲載誌】
「Journal of Radiological Protection 37 (2017) 1-12」

【背景】
福島第一原子力発電所事故後、福島県伊達市は2011年8月から市民を対象としたガラスバッジによる個人線量測定を実施し、現在も継続しています。この取り組みは、市当局、市民の両者がともに放射線状況をより深く理解するためには個人線量実測が必要である、との判断に基づいて始められました。個人ごとの結果は測定の都度個人に伝えられ、1年ごとにまとめられた全体像は市から公表されています。この蓄積された情報の解析の依頼を受け、全体像をよりわかりやすく妥当性のある形で示すことを試みました。

【目的と方法】
本論文の目的の一つは、空間線量率の調査結果から、個人線量を推定する方法を確立することです。今回の事故後の環境においては、個人線量計による外部被ばく線量の測定値は、人の受ける放射線の量の基本となる『実効線量』に良く近似することが、さまざまな角度から検証されています。私たちは、個人線量計のひとつであるガラスバッジにより測定されたある人の外部被ばく線量(≒実効線量)と、航空機モニタリング調査により測定されたその人の居住場所の空間線量率とを対応させる内藤ら*の手法を用い、両者の間にどのような関係があるのかを調べました。

【結果】
解析の結果、以下の3点が明らかになりました。
1)実測された個人の外部被ばく線量は航空機モニタリング調査における居住する場所の空間線量率によく比例し、その比例係数はおよそ0.15倍でした。
2)得られた比例係数0.15は、航空機モニタリングの実施時期が違ってもほとんど変化せず、時間経過に伴う線量の減衰は個人線量と空間線量率の両者ともにほぼ同じでした。
3)本係数0.15に対して、空間線量率から年間実効線量を推測する際に用いられている換算係数0.6は、4倍程度過大でした。

【まとめ】
本論文で確立した空間線量率から個人線量を推定する方法は、将来万が一大規模な汚染を伴う放射線事故が起こった際に、個人の外部被ばく線量を迅速に予測する一助になると考えます。

【論文へのリンク(オープンアクセス)】
doi:10.1088/1361-6498/37/1/1 ( http://stacks.iop.org/0952-4746/37/i=1/a=1 )

*参考論文 Naito W, et al. 2016 Relationship between individual external doses, ambient dose rates and individuals’ activity-patterns in affected areas in Fukushima following the Fukushima Daiichi nuclear power plant accident PLoS one 11 e0158879 ( http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0158879 )

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「放射線災害と向き合って」福島に生きる医療者からのメッセージのご紹介

ライフサイエンス社から出版の書籍「放射線災害と向き合って」をご紹介いたします。

この本は、福島県立医科大学附属病院 旧 被ばく医療班(現 放射線災害医療センター)によって、今回の原子力災害を経験した福島県立医大の放射線災害医療対応を中心に、編集したものです。ご一読いただければ幸いです。

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