概要

公平性はOutrageにおいて非常に重要な要素です。自主的に取るリスクは強制されたリスクよりも公平だと感じられますが、公平性には他にも重要なポイントがあります。特に「リスクの分布(Distribution of risk)」と「利益の分布(Distribution of benefit)」の関係が重要です。

リスクと利益の分布: 不公平なリスク=「大きなリスク」

企業が工場や発電所の周辺住民を説得するために「利益がリスクを上回っています」と説明することがあります。しかし、住民にとっては、「あなた達が利益を得て、我々はリスクを負っている」という不満が生じますし、住民が正しいのです。これは、利益を得る者とリスクを負う者が不公平に分配されているためです。利益に応じたリスクが分配されていない場合、そのリスクは大きなOutrageとなります。不公平なリスクとは、大きなOutrageを引き起こすものであり、本質的に「大きなリスク」となります。

対応法

利益をリスクに応じて分配することが重要です。また、前章で述べたControl(コントロール)を考慮することも不可欠です。以下の例を見てみましょう。

シナリオ1:

企業側の説明者:「基準内ですが発癌物質が排出されます。その代わりに、地域の皆さんのために公園を整備致します。」

住民:「お前らは我々を買収しようとしているのか!?きれいな公園ができるほど、我々への危険が高いってことか!?」

シナリオ2:

企業側の説明者:「我々は発癌物質の排出を最小限にするべきですし、そのように最大限に努力します。そのような努力をしたとしても、基準内ですが排出はありますので、その分に対して我々は皆さんに補償したいという方針です。皆さんの希望を教えて下さい。我々も前向きに検討します。」

住民:「…それならば、地域の公園を整備して下さい。」

シナリオ2は少し出来すぎかもしれません。ただ、シナリオ2では、住民は買収されていると感じず、企業が公平性とコントロールの両方を考慮していると認識します。企業側が多少blackmailed(ゆすられている)と感じることがあっても、それはコントロールがより均等に分配されている良い兆候です。結果として、公平性が担保され、Outrageは減少します。

まとめ

リスクの公平性は、利益とリスクの分布に密接に関連しています。不公平なリスクは大きなOutrageを引き起こすため、利益をリスクに応じて分配し、Controlを住民と共有することが重要です。これにより、Outrageを減らすことができますし、実は、より公平な社会に近づくと考えるべきでしょう。


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 Outrage Management
 1.自主的 (Voluntary) vs. 強制的 (Coerced)
 2.自然のもの (Natural) vs. 人工的なもの (Industrial)
 3.身近なもの (Familiar) vs. 奇異なもの (Exotic)
 4.悪い想起性がない (Not memorable) vs. 悪い想起性がある (Memorable)
 5.恐れられていない (Not dreaded) vs. 恐れられている (Dreaded)
 6.慢性的 (Chronic) vs. 破滅的 (Catastrophic)
 7.認識可能 (Knowable) vs. 認識不能 (Unknowable)
 8.自分がコントロールする (Individually controlled) vs. 他人がコントロールする (Controlled by others)
 9.公平 (Fair) vs. 不公平 (Unfair)
 10.道徳が関係しない (Morally irrelevant) vs. 道徳が関係する (Morally relevant)
 11.信頼できる情報源 (Trustworthy sources) vs. 信頼できない情報源 (Untrustworthy sources)
 12.適切な対応 (Responsive process) vs. 不適切な対応 (Unresponsive process)