概要
自主的(Voluntary)に選択した事柄・行動は、強制的(Coerced)に選択させられた場合よりも受け入れやすく、リスクも低く感じられます。同じ事柄でも、自主的に行う場合は安全に感じられる傾向があります。この受け入れられるリスクの大きさの違いは、最大で1000倍になることがあるとされています(Starr, 1969)。
「Noと言える権利」はOutrageを下げ、リスクを低く評価することに繋がります。
例:廃棄処理場の建設
シナリオ1:
「皆さん、ここに廃棄処理場を建設します。皆さんの希望に反するかもしれませんが、残念ながらもうそれは関係ありません。すでにこの敷地を購入し、建設計画も基準に照らし合わせて承認され、規制当局からも許可が下りています。もし、ここに住み続けたくないのならば、引っ越しを検討してください。」
シナリオ2:
「私たちはここに廃棄処理場を建設したいと考えていますが、皆さんの同意がある場合のみ進めたいと思います。そこで、少額ですが我々は調査費用を提供しますので、皆さんで自分たちの好きな専門家を選んでこの建設の危険性と利益を評価してください。その後、交渉チームを作り、事故予防策、補償、罰金規定などについて何でも話し合いましょう。皆さんが廃棄処理場の建設を希望されて、我々も建設を希望する、という条件に合意できた場合のみ建設を進めます。合意できない場合は建設しません。事前に書面で合意書を作成することをお約束します。」

対応法
シナリオ1とシナリオ2のどちらが成功するかはケースバイケースですが、シナリオ2の方が住民にとって処理場が「安全である」と感じられるのは確かです。自主的な選択が可能な状況ではOutrageが減少し、リスクが低く認識されます。したがって、リスクコミュニケーションにおいては、自ら選択する権利を提供することが重要です。
まとめ
自主的な選択はリスク評価に大きな影響を与えます。住民に選択権を与えることでOutrageを抑え、リスクを低く感じさせることができます。自主的な選択が可能であることが、リスクコミュニケーションにおいてOutrageを抑えるために重要な要素となります。