Q1 核医学検査はどんな検査なのですか?
Q2 放射性医薬品とはどんなくすりですか?
Q3 核医学検査はどのような手順で行われますか?
Q4 CT、MRI、超昔波などの検査とどう違うのですか?
Q5 骨の核医学検査を受けるのですが、何がわかるのですか?
Q6 ガリウムシンチとはどんな検査ですか?
Q7 心臓の核医学検査を受けるのですが、何がわかるのですか?
Q8 脳の核医学検査を受けるのですがCT、MRI検査と違うのですか?
Q9 肺の核医学検査では何がわかるのですか?
Q10 腎臓の核医学検査では何がわかるのですか?
Q11 甲状腺の核医学検査では何がわかるのですか?
Q12 副腎の核医学検査では何がわかるのですか?
Q13 バセドウ病でアイソトープ治療をすすめられました。どんな治療ですか?
Q14 副作用はありませんか?
Q15 核医学検査で子供ができなくなることはありますか?

Q16 患者さんは、放射線をどのくらいうけるのですか?



Q1 核医学検査はどんな検査なのですか?

ガンマ線という放射線を放出する少量のくすり(これを「放射性医薬品」といいます)を静脈から注射し、検査用のベッドの上で静かに横になっている間に、ガンマカメラで体の中の様子を画像(シンチグラム)にする方法です。多くの場合、受診する方が検査用のベッドに20〜30分間静かに横になっている間に、検査は終わってしまいます。ですから、患者さんにとって大変苦痛の少ない検査法なのです。静脈から注射するほかに、くすりによってはカプセルを飲んでいただくものや、呼吸によって吸入していただくものなどがあります。多くの場合はガンマカメラで、体の中の状態を画像にして診断しますが、他の装置で測定することもあります。



Q2 放射性医薬品とはどんなくすリですか?

このくすりの特徴は、放射線を放出するアイソトープを含んでいることです。注射された少量の放射性医薬品は、外部から見えない病気の場所や臓器の状態を、放射線という信号を出して知らせてくれます。この大事な信号を受け止める役目が、ガンマカメラという装置です。またこの信号は、臓器の形の異常のあるなしにかかわらず、機能の異常を早期に知らせてくれるのです。多くの場合、注射されたくすりは、一度は目的の臓器や器官に集まりますが、早いものでは数時間で、遅くても数日で信号(放射線)が弱くなって、やがてなくなってしまいます。これは、くすりが体から排泄されたり、放射線を出すアイソトープそのものの能カが弱くなってしまうからです。



Q3 医学検査はどのような手順で行われますか?

放射性医薬品の有効期限は極めて短いため、検査予定日の朝に病院に届いたくすりを、その日のうちに使わなければなりません。多くの場合が静脈から注射しますが、カプセルを飲んでいただいたり、ガスを吸入していただくこともあります。検査の性質上、目的の臓器にくすりが集まるまで、1〜3時間待っていただいたり、朝の絶食、服用中の薬の一時中止などが必要な場合もあります。検査は、専用ベッドに静かに横になっている間に行われることが一般的です。待ち時間を含めて2〜3時間で終了する検査が多いのですが、注射をして1日または2〜3日後にもう一度来院が必要な検査もあります。核医学の専門医が診断いたしますので、検査結果の説明が後日になる場合も多いと思われます。



4 CT、MRI、超音波などの検査とどう違うのですか?

体のどこかに具合の悪い部分がありますと、それが原因で病気になります。病気を治療するためには、具合の悪い部分の機能やその形・大きさを知ることが大切です。その全てがわかって、はじめて、適切な治療方法が決められます。また、治療を続けている間は、治療の効果を確かめることも大切です。検査は治療の方法を決めるためと治療の効果を確かめるための二つの目的で行われますが、核医学検査は、おもに臓器の働き具合(機能)を調べます。CTやMRIや超音波検査は、形(位置)や大きさを調べます。必要な検査を組み合わせて行うことで、病気の大きさや形や働きがわかります。その結果、治療の方針を決めたり、効果的な治療が行われているかを判断したりすることができるのです。核医学検査は、放射性医薬品がどのような速さで、どこに・どれだけ集まってくるかを調べることで、病気の状態・形の異常が現れる前に診断できます。



Q5 骨の核医学検査を受けるのですが、何がわかるのですか?

この検査に用いられるくすりは、骨の代謝や反応が盛んなところに集まります。この性質を利用して、骨腫瘍や骨の炎症、骨折の診断ができます。骨の核医学検査は、乳がん、肺がん、前立腺がんなど各種のがんの治療前や治療後の経過をみる上で欠かせません。また、エックス線検査よりも早期に、しかも患者さんの苦痛も少なく骨の異常を見つけられます。また、エックス線検査では診断が困難なスポーツ選手の疲労骨折や、骨粗しょう症に伴なう骨折の診断でも、核医学検査は大変役立っています。



Q6 ガリウムシンチとはどんな検査ですか?

ガリウム-67というアイソトープを含んだくすりを用いた核医学検査が、ガリウムシンチです。このくすりは、腫瘍や炎症に集まる性質があります。この性質を利用して腫瘍や炎症が、どの部位にあり、どの程度の進行具合かを調べます。通常は、全身の画像(シンチグラム)をとり、くすりの集まり具合により診断します。この検査や他の検査の結果から総合的に判断して、治療法が選択されます。また、治療を開始した後には、治療の効果を確かめるためや、再発していないかどうかを知るために、この検査が行われます。骨シンチは骨が対象ですが、ガリウムシンチは骨以外の部位も対象となります。多くの場合、検査の2〜3日前にガリウムを注射します。ガリウムは、最初のうちは腎臓や腸管から排泄されます。2〜3日後に画像(シンチグラム)をとると病巣が最も鮮明に見えるためです。注射されたガリウムは、腎臓や腸管から排泄されるため、お腹に病気がある時は正常な腸と病気の場所が重なって見えにくいことがあります。そのため検査の前日の夜に下剤を飲んでいただくことがあります。また、浣腸が必要な場合もありますが、腸をきれいにするだけなので、食事はふだん通りでけっこうです。検査時間は、30分〜1時間です。静かに寝ているあいだに、ガンマカメラで全身と各部位の画像をとります。腸管が重なってわからないときは、翌日にもう一度検査することもあります。



Q7 心臓の核医学検査を受けるのですが、何がわかるのですか?

心臓は筋肉のかたまりで、からだ全体に血液を送り出すポンプです。常に働き続けているため、たくさんの栄養や酸素が必要です。この酸素や栄養は、冠動脈と呼ばれる3本の血管を流れる血液によって運ばれます。狭心症や心筋梗塞は、この冠動脈が動脈硬化などで狭くなったり、血液が流れにくくなっておこります。治療は、細い管(カテーテル)で血管の狭くなったところを拡げたり、別の血管をつなぐバイバス手術を行うなどして、心筋細胞に血液が十分運ばれるようにします。治療の前に知っておかなければならないことは、血液の流れが足りない心筋の場所がどこか、そこの心筋細胞は生きていて、治療で治る見込みがあるかどうかです。この目的に心筋シンチグラフィが犬変役立ちます。また、血管造影検査と比べて患者さんの負担が小さいので、治療した後の経過を見るためにもよく利用されます。この他、心臓のポンプとしての働き具合も検査できます。もっともよく行われている方法は、心筋の血流をみる心筋血流シンチグラフィです。タリウム-201やテクネチウム-99mというくすりがよく使われます。ほかにヨウ素-123を使って、心筋の脂肪酸代謝や、交感神経の分布の異常をみるシンチグラフィもあります。タリウム-201を静脈に注射した後、安静にして30分くらいかけて検査する方法が安静時心筋シンチグラフィです。心臓を輪切りにした断面の画像(SPECT)も同時にとります。運動や薬によって心臓に余分な仕事(負荷)をさせて検査する方法を、負荷心筋シンチグラフィといいます。血管の詰まり具合の程度が軽い例では、安静な状態で検査しても、どの部分に病気があるか判りません。そこで、患者さんの心臓に負荷をかけることにより、病気の部分と正常の部分の区別ができるようになります。負荷の後すぐにガンマカメラで画像をとり、その後3〜4時間たって、安静時にもう一度ガンマカメラで画像をとります。



Q8 脳の核医学検査を受けるのですが、CT,MRI検査とどう違うのですか?

CT検査は、脳内の形の変化を見て、病気があるかどうかを調べるものです。MRI検査は、装置によっては機能をみることもできますが、通常はCTと同様に脳内の形の変化を見ています。核医学検査は、形の異常ではなく、もっぱら機能の異常を調べるために行われます。脳の病気では形の異常があらわれる前に、機能の異常があらわれることがあります。核医学検査は、病気の早期の診断や回復の可能性がある障害の軽い場所を見つけるために役立ちます。現在、最も多くおこなわれている脳の核医学検査は、脳血流SPECT(スベクト)といわれる血流を調べる検査です。この検査を行うと、脳梗塞、痴呆、てんかん、脳腫瘍、外傷などさまざまな病気で起こる脳内の血流の異常がわかります。また、血流異常のパターンから痴呆の原因が脳血管障害によるものか、アルツハイマー病によるものかを判断することができます。脳の核医学検査では、くすりを静脈に注射し、20〜30分間ガンマカメラで画像をとります。脳内の血流を調べるときは、血流の多いところに多く、少ないところには少なく集まるくすりを使います。そしてこのくすりの集まり具合を輪切りの画像(断層画像)として表します。この脳の血流を調べる断層画像をとる検査法が脳血流SPECT(スペクト)と呼ばれます。



Q9 肺の核医学検査では何がわかるのですか?

肺の毛細血管に血液を送る血管に血栓(血液の一部の固まり)が詰まりますと、胸が痛くなったり息苦しくなったりすることがあります。これが肺塞栓症という病気ですが、血栓が肺のどこにあり、どういう治療をしてよいかを知るために核医学検査を行います。また、血栓を溶かす治療をしているときに治療の効果がでているかを核医学検査で調べることができます。



Q10 腎臓の核医学検査では何がわかるのですか?

腎臓は体に不要な成分をろ過する働きをしています。このろ過作用が正常に働いているか、ろ過の速さはどの程度かを核医学検査で調べることができます。腎臓は左右に二つありますから、この二つを比較する際にも核医学検査はとても大切です。腎移植の後に移植された腎臓が正常に働いているかを知るにも、核医学検査が必要です。



Q11 甲状腺の核医学検査では何がわかるのですか?

甲状腺は体調を維持する犬切なホルモンを作っています。そのホルモンを甲状腺がつくりだすときに、ヨウ素を必要とします。ホルモンを作る機能が活発すぎないか、不足していないかを放射性ヨウ素を用いた核医学検査で調べることができます。活発すぎる場合は、この検査の結果をもとにヨウ素-131で治療することもできます。甲状腺にできた腫瘍が良性か悪性かも核医学検査でわかります。



Q12 副腎の核医学検査では何がわかるのですか?

副腎も同じようにホルモンを調整しており、ここが病気になると血圧が非常に高くなることがあります。ここでも、ホルモンの原料になる物質にアイソトープをつけた放射性医薬品で核医学検査を行うと、副腎の働きを把握できます。副腎にできているかもしれない腫瘍を見つけることもでき、その結果、治療方法を決めることができます。



Q13 バセドウ病でアイソトープ治療をすすめられました。どんな治療ですか?

甲状腺がホルモンを必要以上に作りすぎる病気がバセドウ病です。このバセドウ病の治療には、(1)抗甲状腺薬の服用、(2)アイソトープ治療、(3)手術の三つがあります。抗甲状腺薬の治療では、2〜3割の人が、1年から1年半の治療で治ります。しかしこれ以上の期間で治らない場合に、抗甲状腺薬の治療を続けるのは、薬の副作用が心配です。手術は、甲状腺を部分的に切り取るのですが、首に手術の跡が残ります。アイソトープ治療は、手術の効果と同じで、大きくて働きすぎる甲状腺を小さくして正常にもどします。甲状腺は、海藻類などに多く含まれるヨウ素を使ってホルモンを作ります。ヨウ素を含む海藻類などを食べないで、放射性のヨウ素-131を服用しますと、甲状腺は普通のヨウ素と区別できないため、放射性のヨウ素-131も甲状腺に集まります。このことにより放射線の影響を甲状腺に集中することができます。このために甲状腺細胞が、放射線の影響で減少します。その結果、作られる甲状腺ホルモンの量は少なくなります。この治療法は、確実にバセドウ病を治すことができます。治療効果は「ヨウ素-131」の服用量と甲状腺の放射線感受性によって決まります。人によっては効果が不充分な場合には、2度または3度、治療を行うことがあります。抗甲状腺薬の治療と異なり、速やかに腫大した甲状腺を小さくすることができます。ヨウ素-131の治療により甲状腺の機能が抑えられるため、手術の場合と同じように、治療後年数が経って、甲状腺ホルモンの足りない甲状腺機能低下症になる人がいます。この場合には、甲状腺ホルモン剤の服用が必要になりますが、甲状腺ホルモン剤には副作用はありません。したがって、抗甲状腺薬でバセドウ病の治療を続けるよりもはるかに快適な社会生活ができます。



Q14 副作用はあリませんか?

1999年度の副作用調査によりますと、放射性医薬品の投与件数137万件に対して、29件の報告がありました。副作用の程度は、軽微が19件、中等度が10件となっており、重篤なものはありません。また、副作用の内容は、血管迷走神経反応13件、アレルギー9件、その他7件で、症状としては、顔面紅潮、悪心、吐気、めまい、気分不良、皮膚発赤、発疹、そう痒感、脱力感、動悸、発汗などでした。検査用の放射性医薬品に含まれるアイソトープの量はわずかですから、放射線影響の点から見ても心配はありません。投与されるアイソトープの種類や量は、放射線治療の成績や広島、長崎の被爆者のデータ、動物実験の結果などから国際放射線防護委員会の詳細な検討に基づいて、患者さんの利益ができるだけ大きくなるように決められます。



Q15 核医学検査で子供ができなくなることはありますか?

妊娠していると思われる女性の核医学検査は、できるだけ避けるのがよいとされていますので、検査予約のときに必ずお話しください。しかし、万一気が付かないで検査を受けてしまった場合も心配はありません。男性の場合も女性の場合も、核医学検査を受けたことが原因で子供ができなくなることはありません。また、核医学検査を受けたときに、仮に妊娠していたとしても、核医学検査で受けた放射線が原因で胎児に影響が現れることもありませんので、心配はありません。放射線を受けたかどうかに全く関係なく、子供が欲しいと思っている夫婦の約一割は、いろいろな原因で不妊であると推定されています。

不妊

子供ができない、あるいは子供ができにくいことを不妊といい、放射線を受けたことが原因でおこる不妊を放射線不妊といいます。放射線不妊は、多くの人々が心配する影響の一つですが、放射線不妊についてはこれまでの豊富な経験があります。1950年代後半までは、わが国でも治療の目的で女性の卵巣に放射線を照射し、意図的に放射線不妊をおこす治療が行われていたからです。放射線不妊に関する人についてのデータが豊富ですから、どの程度の放射線を受けると不妊になるかということがよくわかっています。卵巣あるいは睾丸に数百ミリグレイ以上の放射線を受けた場合には、一時的に子供ができにくくなることがあります。永久に子供ができなくなるのは、卵巣や睾丸に数千ミリグレイ以上の放射線を受けた時です。卵巣あるいは睾丸に受けた線量が、これよりも低い場合には、不妊がおこることはありません。核医学検査で卵巣や睾丸が受ける線量は、百ミリグレイを超えることはありません。ですから、核医学検査が原因で不妊になることはありません。

胎児への影響

母親が核医学検査を受けたとき、妊娠していますと胎児が放射線を受ける可能性があります。しかし、胎児に奇形や、大脳の発達の遅れがおこるのは、胎児が百ミリグレイ以上の放射線を受けた場合です。核医学検査の種類や妊娠の時期によって異なりますが、いずれの検査の場合も胎児の線量が百ミリグレイを超えることはありません。したがって、仮に妊娠中に核医学検査を受けたとしても胎児に奇形などの影響をおよぼすことはありません。



Q16 患者さんは、放射線をどのくらいうけるのですか?

核医学診療の安全性

核医学検査を受ける患者さんは、放射性医薬品を投与されますので、ある程度の放射線被ばくがあります。核医学検査 1回あたりの被ばく量は、0.2〜 8ミリシーベルトで、エックス線検査と大きな違いはありません。核医学検査は、わが国全体で年間 180万件以上実施されていますが、放射線障害の事例は発生していません。また、最近 5年間の副作用調査によりますと、核医学検査 10万件あたりに 2.1〜 2.5件と、ごくまれに副作用があるという報告があります。副作用の内容は、発疹、嘔気、悪心、皮膚発赤、顔面紅潮、掻痒感出現などで、軽微又は中等度の副作用です。これらは、放射線による影響ではないことが確認されています。

核医学検査での被ばく

エックス線検査では、エックス線を照射する時間は、電気的に制御されていますが、核医学検査では、放射性医薬品が投与されますので、体内の放射性医薬品がなくなるまで放射線を受けます。しかし、放射性医薬品は、半減期の短いアイソトープが使われていますので、物理的な減衰と排泄などにより、短時間のうちに体内から消えていきます。投与されてから消えてしまうまでのすべての被ばく量を合算した値が、 0.2〜 8ミリシーベルトです。


日本核医学会  日本核医学技術学会  (社)日本アイソトープ協会  企画・編集・発行
なぜ核医学検査を受けるの? 看護スタッフのための核医学QA より抜粋