福島県立医科大学医学部呼吸器内科
 
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新しい診断技術
ヴァーチャルナビゲーション気管支鏡システム
 カーナビのついている車が多くなりました。目的とする場所に誘導してくれるナビゲーションシステム。目的地にたどり着くのに大変便利です。当科では気管支鏡検査にもナビゲーションシステムを導入しています。肺の3cm以下の小型末梢病変は診断するのが困難で、以前の診断率は約30%ぐらいでした。なぜなら気管支は末梢まで多くの枝に分岐するため、目標とする病変に到達するには、関与する気管支を同定し、その曲がりくねった遥かな道を正確に進んでいく必要があるからです。
  ヴァーチャル気管支鏡ナビゲーションシステムは、検査前にCTを再構築して仮想気管支鏡を作成し、病変までのルートを作成します。あとは気管支鏡検査時にリアルタイムにナビゲーションの画像に従ってカメラを進めるだけです。ナビゲーション時に、気管支鏡内の視野と、仮想気管支鏡の画像の方向(前後と回転軸)をリアルタイムに同調させることができるのがこのシステムのポイントです。これにより診断率は約2倍に上昇しました。検査時間も著しく短縮しました。患者さんに優しいシステムです。このシステムはオリンパスメディカルシステム社と共同開発した技術で、現在市販されて日本全国に普及しつつあります。
ヴァーチャルナビゲーション気管支鏡システム 呼気濃縮液(Exhaled breath condensate:EBC)検査
ヴァーチャルナビゲーション気管支鏡システム コンピュータ上に作成した仮想内視鏡画面
気道過敏性検査(アストグラフ) 気道抵抗測定(IOS:Impulse ossilometry system)
左が仮想内視鏡画面で右が実画面 内視鏡検査中のレントゲン写真です。
矢印にはさまれた部分に小さい癌があります。
 
呼気分析
 <気管支喘息などの慢性咳嗽の検査>

 長引く咳や息切れを訴えて呼吸器科外来を受診される方は非常に多いです。そのような症状が出る疾患に咳喘息や気管支喘息があります。喘息の病態は気道の慢性炎症が特徴です。気道炎症の状態や程度を評価する方法には様々な検査があり、当科では主に下記のような検査を行って診療しています。

【呼気一酸化窒素濃度(Fractional exhaled nitric oxideFeNO)測定】

 気管支喘息患者さんの多くは好酸球性気道炎症があり、FeNOを測定することで、好酸球性気道炎症の存在や程度を評価することができます。専用のマウスピースを加えて、一定の強さと速さで10秒ほど息を呼出することで測定します。負担が少なく、結果はその場ですぐに判定できます。気管支喘息の迅速補助診断に加えて、治療効果や管理の指標としても用いています。保険収載されている検査となります。

【気道過敏性検査(アストグラフ)】

 気道過敏性とは、気道収縮物質に対して気道が狭窄反応を示す程度のことであり、気管支喘息患者さんでは気道過敏性の亢進が認められることが特徴です。気道収縮薬(メサコリン)を低濃度から1分間ずつ吸入し、段々と薬剤濃度を上げていき、気道抵抗値を測定します。測定時間は10分~15分程度です。気管支喘息の診断指標として重要ですが、負荷試験であることから施行時には過度の気道狭窄や低酸素血症に注意が必要です。また、アストグラフ検査の終盤には気管支喘息の治療に用いる気管拡張薬(ベネトリン)を用いて検査前の呼吸機能に回復したことを確認したうで検査を終了します。

【気道抵抗測定(Forced oscillation techniqueFOT)】

 主に気管支喘息患者さんでの末梢気道(気道の奥の方)の気道抵抗値を測定します。計測時間は5分程度です。気管支喘息では末梢気道の抵抗が上昇することがあり、気管支喘息の評価のひとつとしての検査となります。

【咳感受性試験】

 咳が出る原因のひとつに咳感受性が亢進していることがあります。カプサイシン(唐辛子に含まれる成分)を低濃度から少しずつ吸入して、どの濃度で1分間に2回または5回以上、咳が誘発されるのかを評価する検査です。カプサイシン濃度が低い段階で咳が誘発される場合には、咳感受性が亢進している可能性があり、咳の治療薬を考える際に有用となることがあります。

【咳モニター】

 咳が1日の中でどのくらい、そしてどの時間に多く出ているのかを評価するための検査です。記録はボイスレコーダーを用いて行います。ご自宅に専用レコーダーを持ち帰っていただき、24時間の記録を行ったのち、後日返却していただきます。咳の解析は専用プログラムを用いて咳だけを自動的に検出し、咳の回数と咳の出ている時間帯を調べます。専用プログラムによる解析なので、プライバシーも保護されています。咳の程度や多い時間帯をみることができるため、慢性咳嗽疾患の診断の一助になります。また、解析結果をカルテ画面にお示しすることも可能なので、患者様自身が客観的に咳の状態を把握できます。更に、治療前と治療後に咳の回数を評価することで,どのくらい改善したのかを把握することも可能です。

呼気一酸化窒素濃度(Fractional exhaled nitric oxide:FeNO)測定 呼気濃縮液(Exhaled breath condensate:EBC)検査
呼気一酸化窒素濃度
(Fractional exhaled nitric oxide:FeNO)測定
呼気濃縮液(Exhaled breath condensate:EBC)検査
気道過敏性検査(アストグラフ) 気道抵抗測定(IOS:Impulse ossilometry system)
気道過敏性検査(アストグラフ) 気道抵抗測定(IOS:Impulse oscillation system)
 <気管支喘息の新しい治療>

気管支喘息治療の第一選択薬は、気道炎症を抑える吸入ステロイド薬です。その他、気管支拡張薬など様々な治療薬がありますが、複数の治療薬を使用しても十分なコントロールが得られず、日常生活に支障が出てしまう難治性喘息の方がいらっしゃいます。このような方に以下のような新しい喘息治療があります。 

 【生物学的製剤】

 喘息で気道の炎症を起こすメカニズムは複雑ですが、そのメカニズムに関与している物質(サイトカインなど)を阻害する注射製剤です。20217月時点で、4種類の生物学的製剤があります。発売順の記載となりますが、抗IgE抗体(オマリズマブ:ゾレア®)、抗IL-5抗体(メポリズマブ:ヌーカラ®)、抗IL-5受容体α抗体(ベンラリズマブ:ファセンラ®),抗IL-4/IL-13受容体抗体(デュピルマブ:デュピクエント®)があります。種類によって、注射の投与間隔は2週間毎から2カ月毎と様々です。どの製剤が治療効果に期待できるかについては、患者さん毎に異なり、血液検査や呼気分析、喀痰検査などの結果から判断していきます。これらの製剤による治療でコントロールが得られれば、それまでの内服薬などが減らせることもあります。

 【気管支サーモプラスティー】

 高周波電流により気管支壁を加熱することで、肥厚した気道平滑筋を減少させ、喘息発作の頻度を減らし、喘息症状や生活の質(QOL)を改善させます。難治性喘息の方では、気道平滑筋が肥厚して喘息の悪化に関与していることがあります。高周波電流を用いて65℃の温度で気管支壁を温めることで気道平滑筋を減少させます。具体的には、入院の上、全身麻酔下に気管支鏡を用いて特殊なカテーテルを気道に入れて、65℃10秒間ずつ通電し、気道平滑筋を減少させます。この手技を34週間の間隔をあけ、3回に分けて行います。18歳以上の喘息患者さんが対象となります。

 【治験】

 既存の様々な治療を行っても改善の得られない、慢性的に咳が持続する方や難治性喘息の方でには、今後の日常診療で利用される前の新しい薬剤による治験も積極的に行い、最先端の医療を提供しておりますのでご相談ください。

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