福島県立医科大学医学部呼吸器内科
 
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呼吸器内科とは
ダイナミックに変貌しつつある呼吸器疾患
呼吸器疾患における一般内科素養の重要性

最後に
ダイナミックに変貌しつつある呼吸器疾患

 呼吸器の重要な部分をになう肺は、生命にとって欠くことのできない酸素の取り入れと二酸化炭素の排泄を司る臓器です。その最大の特徴は、ガス交換機能を果たすため常に外気を吸込みそれを吐き出していなければならない宿命を持っていることです。
 このため肺は、環境変化に最も敏感な臓器です。たとえば、癌死亡の第一位になった肺癌は、喫煙習慣や大気汚染といった環境要因に大きく影響を受けています。また、ここ20年で約3倍に増加したといわれる成人気管支喘息の多くが生活環境内に存在する種々の抗原に暴露されることにより発症します。この抗原に対する抗体産生は、基本的に遺伝子レベルの個人差(体質)の影響を大きく受けますが、同時に大気汚染などの環境要因によっても影響を受けます。最近では、季節風にのって中国の砂漠からやってくる黄砂も症状に関係することが分かってきました。

ダイナミックに変貌しつつある呼吸器疾患
ダイナミックに変貌しつつある呼吸器疾患
 このように呼吸器疾患は、環境との関わりが非常に密接であると同時に、遺伝子レベルで決定されている個体の感受性(体質)と環境要因との複雑な相互関係により、その種類や頻度、病像なども極めて多彩になってきます。
 今、人類は、これまでに経験したことのない急激な環境変化に曝され、地球環境の時代とまで言われています。呼吸器疾患もこの環境変化に伴い今まさに変貌しつつあり、呼吸器病学はこの変貌しつつある呼吸器疾患の環境要因と遺伝要因を探るとともに、その予防と治療法を追及する非常にダイナミックな分野なのです。
呼吸器疾患における一般内科素養の重要性

 肺で酸素化された血液は、心臓から全身に送りだされ、身体の隅々まで酸素を供給するとともに、不要となった二酸化炭素を受け取って再び肺に戻ってきます。この際すべての血液は、必ず肺を通過します。このため、肺にはガス交換機能の他に全身の様々な機能を調節する働きがあると考えられます。
 肺の機能異常が全身の臓器機能に影響を与えるのみならず、他の内科系、外科系疾患からしばしば肺へ障害が及びます。この分野は未知な部分が多いのですが、生理的な調節機能としては、アンギオテンシン、セロトニン、ブラジキニンなどの代謝による循環調節機能や、肺を介した免疫調節機能などが徐々に解明されつつあります。

 低酸素血症や高炭酸ガス症が全身臓器機能へ大きな影響を与えることはいうまでもありません。また,膠原病などの自己免疫性疾患においても多彩な肺病変が現れ、予後を規定する重要な因子となっています。このように、呼吸器疾患を十分に理解するためには、幅広い一般内科の素養も必要になってきます。
呼吸器疾患における一般内科素養の重要性
呼吸器内科で扱う疾患
肺扁平上皮癌 肺炎球菌 気管支炎喘息 呼吸器感染症
肺扁平上皮癌 肺炎球菌 気管支炎喘息 呼吸器感染症

 呼吸器科で扱う疾患は、非常に多岐にわたっています。近年増加している高齢者の肺炎や肺結核をはじめとする呼吸器感染症は、早期の診断と適切な治療が重要です。近年、百日咳も再流行が見られました。オウム病やレジオネラ肺炎についても新しい知見が蓄積されつつあります。
 また、肺癌はもちろんのこと、気管支喘息、慢性肺気腫、間質性肺炎などは、とりわけ頻度の高い疾患ですが、専門医でないと鑑別の難しいことがあります。全身疾患の肺病変として膠原病の肺疾患、アミロイドーシス、悪性リンパ腫なども呼吸器内科で扱うことがあります。
それほど頻度が多くありませんが、原発性肺高血圧症、肺胞蛋白症、びまん性過誤腫性脈管筋腫症などといった特殊な疾患もあります。これらは診断が難しく、長い間、他の肺疾患と誤って診断されてしまっていることもあります。

 呼吸器疾患に伴う症状は、呼吸困難や咳嗽、喀痰などが代表ですが、これらの症状のみからでは区別のつけにくい疾患も多いため、病気の診断には、より専門的な知識と技術をもった呼吸器専門医の役割が大変重要となってきます。さらには、肺癌のターミナルケア、慢性呼吸不全の在宅酸素療法など、呼吸器専門医の守備範囲は、年々広がってきています。
呼吸器疾患における一般内科素養の重要性

 私たちの呼吸器内科は、専門医の少なかった福島の地に開設されて以来、専門医の数を増やし、県内各地域の診療をお手伝いしながら福島の呼吸器疾患診療を世界最高標準レベルにまで近づけるべく努力を重ねてきました。単に医師としての全人的素養を培うだけにとどまらず、福島から世界へ向けて新しい診断技術や治療法を発信してきました(呼気NOによる気管支喘息の診断法、バーチャル気管支鏡ナビゲーションシステムの開発、難病間質性肺炎の病態研究など)。
 2011年3月の東日本大震災と原発事故により県内の医療関連施設及び医療体制が受けた被害には甚大なものがあり、それらの復興へ向けて崇高な志しをもった関係者の弛みない努力が現在も続いています。私たちも臆することなく志しを共にしてこの難局を乗り越え、福島がこれまで以上に世界に誇れる医療発信の地となることを展望し、県民の皆様と共に歩んで行きたいと考えています。

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